医療の面でも最先端を目指す中国で4月20日、第12回「国際胃癌会議」が開催された。経済成長に伴い、中国人の生活が豊かになる一方で、中国ではがん患者が年々増加しているのだが、患者の増加に医療環境の整備が追いついていないのが現状だ。(イメージ写真提供:123RF)

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 医療の面でも最先端を目指す中国で4月20日、第12回「国際胃癌会議」が開催された。経済成長に伴い、中国人の生活が豊かになる一方で、中国ではがん患者が年々増加しているのだが、患者の増加に医療環境の整備が追いついていないのが現状だ。

 国立がん研究センターが2016年1月20日に発表したデータによれば、日本の胃がんの5年相対生存率は73.1%に達するが、中国における胃がんの5年生存率が約20%にとどまっており、より優れた治療を受けるために日本を訪れる中国人が増えている。

 中国メディアの同花順はこのほど、1回に4万元(約64万円)という大金をかけてまで、中国の富裕層が日本でがん検診を受けたがる理由について考察する記事を掲載した。

 記事は、中国の一部統計として、中国では毎日1万人以上ががんと診断されている計算であり、人口の約3分の1ががんを発症している計算となるほど、中国ではがん患者が増えていることを指摘。がんは早期発見が重要と言われるが、中国ではがんの早期発見率が20%に満たず、日本の早期発見率には程遠い。それゆえ中国の富裕層は旅費や宿泊費が掛かるとしても日本で健康診断を受けたがるのだと論じた。

 続けて、日本のがん検診と治療が世界のトップクラスの水準にある背景として、「日本もがん大国であるゆえに医療技術が発達した」ことを挙げている。日本でもがんを発症する人が多くいるものの、胃がんの5年相対生存率は73.1%に達すると指摘し、この生存率の高さこそ、日本のがん治療のレベルの高さであると論じた。

 また患者を人として尊重する医療サービスは「日本ならではのもの」だとし、中国では1人の医者が診る患者があまりに多いため「3分で診断」すると揶揄(やゆ)されるほど雑だと指摘。患者に対する配慮が欠けた冷たい対応が日常的だとした。患者への配慮や医師との協力が必要ながん治療において、中国人が自国の医療よりも日本の配慮ある医療を求めるというのもうなずける。

 さらに、外国人が日本に滞在し、がん検診を受ける費用を計算すると4万577人民元(約65万円)は必要となると紹介。仮にがんが発見され、日本で治療を受けるとすればさらに高額な費用が必要となることを紹介する一方、それでも背に腹はかえられないとして、富裕層の間では日本での検診が人気となっていることを伝えている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)