ジャンプを読者がつくる「Myジャンプ」! これからの人気マンガは読者とネットがつくる時代なのか

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集英社の漫画アプリ「Myジャンプ」が5月8日、大幅にリニューアルされました。

「Myジャンプ」という漫画アプリをご存知だろうか?

Myジャンプは、「週刊少年ジャンプ」の編集部とデジタル事業部が共同開発し、2016年8月にリリースされた漫画アプリです。

このアプリには
・週刊Myジャンプ
・MyジャンプBEST
という、2つの機能が搭載されています。

・週刊Myジャンプとは
週刊少年ジャンプで現在連載中の「ONE PIECE」や、1980年代の「キン肉マン」、1990年代の「DRAGON BALL」など、過去から現在に至る掲載作品の中から好みに応じて作品を選ぶと、毎週新しいエピソードが配信されてくるという機能です。

・MyジャンプBESTとは
ユーザーが「るろうに剣心」や「ジョジョの奇妙な冒険」、「DEATH NOTE」など多数の対象作品の中から好きなエピソードを1話単位で選んで、1冊の自分オリジナルの「ジャンプ」が作れる機能です。

今回、アプリがリニューアルされて「週刊少年ジャンプ」連載作品だけでなく
・「ジャンプSQ.」
・「月刊少年ジャンプ」
・「ヤングジャンプ」
・「ウルトラジャンプ」
といったジャンプの主要雑誌が追加されました。

ラインナップは、なんと9雑誌465作品、コミックス4000冊分以上のボリュームにまで拡充されています。

Myジャンプは、今回の大幅リニューアルで、複数のジャンプ誌から自由に作品をチョイスして雑誌間を横断したオリジナル誌の作成が可能となり、ネット上で話題を呼んでいます。

■自分だけの漫画雑誌がつくれて、人と共有できる





「Myジャンプ」アプリのトップページには、
・「水着ジャンプ」
・「魔法ジャンプ」
・「ファンタジージャンプ」
・「学園ジャンプ」

など様々な切り口で編成された12種類の「オリジナルジャンプ」が掲載されています。これらは、運営チームが独自に編成したものです。

つまり、Myジャンプアプリを使えば、自分だけのオリジナルジャンプが作れるのです。

たとえば、ユーザーが自由な切り口で、作品やエピソードをチョイスして
・自分が好きなギャグ作品だけを集めた「ギャグジャンプ」
・バトルマンガの最終回だけを集めた「最終決戦ジャンプ」
・名作の泣ける名シーンだけを集めた「名シーンジャンプ」

など、どこにもない「オリジナルジャンプ」も作れるのです。





また作成した「オリジナルジャンプ」は、自分が楽しむだけでなく、TwitterやFacebook、LINEなどSNSでシェアする可能なのです。

つまり、自分が作成した「オリジナルジャンプ」を、友人や知り合いに読んでもらうことができるのです。

これは、ユーザー自身が、
・どんな作品を掲載するか?
・どんなジャンプをつくるのか?
といった、ジャンプ編集部になる気分を味わえるのです。

既存の人気コミックをつかって、自分だけのジャンプが作れる。
このインパクトはかなり大きいと思われます。

コンテンツ編成を”ユーザー”ができることは、コミックの在り方、拡散の仕方に大きな変化をもたらすかもしれません。

■マンガアプリの”無料連載”が過去の名作を掘り起こす
週刊少年ジャンプは、1990年代には約650万部という発行部数を達成しましたが、2016年には約200万部にまで減少しています。

以前のように、リアルなマンガ雑誌が売れなくなっているのです。

現在では、コミックも電子書籍化され、ネットやスマホ、タブレットなどで読める時代になり、よりソーシャル化が進んでします。

これまでは、
マンガ雑誌が新人作家を発掘、育成
→雑誌に掲載、連載される
→購入読者が知る
→人気が出る
→単行本が売れる

というビジネスパターンでした。
ネット、電子書籍のある時代になり、電子コミック市場は紙の落ち込みをカバーする急成長を遂げています。

つまり、現在連載中の作品だけでなく、連載が終了している過去の作品も以前よりも売れているのです。

漫画アプリ「LINEマンガ」で、
2016年に販売されたコミックの売り上げ上位を見ると、1位から順に
「BLACK BIRD」
「ピアノの森」
「アイシールド21」
など、無料連載されていた旧作が上位を占めています。

また、2012年に連載が終了していた「なみだうさぎ〜制服の片想い〜」という少女漫画は、メディアミックス展開やネットの口コミといったPRが行われてないのに、紙のコミック販売数が急激に増加しました。
原因を調査してみるとLINEマンガで1巻無料配信を行っていたことが、リアル書店での売上につながったようです。

以前のように、出版社の大規模なメディアミックスやキャンペーンなどで売り上げを上げていた時代とは異なり、ユーザーのネットクチコミやSNSなどによって、過去の作品でも、メジャーでない作品でも、売れる時代になったことを示しています。

■ネットによってヒット作品も変化する?
従来のマンガ雑誌は、プロの編集者が選択した作品が読者に届くスタイルでした。

集英社の「Myジャンプ」アプリの登場は、
・コンテンツ編成権のオープン化
・ネットやSNSでの拡散化
を、読者に与えることで、読者自身による、ほかの読者へのアピールや周知が可能になったと言えます。

こうした読者への拡散の多様化は、昨年人気を博したPPAPのように
・一部のコミュニティから爆発的に人気になる
・ショートブームとなる作品が生まれる
など、
今までにない、新しいヒット作品が生まれてくるのかもしれません。


磯崎 新