関連画像

写真拡大

外国人観光客の増加を受け、政府は「ライドシェア」の解禁を検討している。ライドシェアとは、一般のドライバーが自家用車を使って、有料で利用者を運ぶ行為のこと。事実上の「白タク」だ。解禁されれば、スマホの配車アプリで近くのドライバーを呼び出し、タクシーより安く目的地まで運んでもらえるようになる。

ライドシェアの配車サービスでは、米ウーバーが世界的に有名だ。しかし、ライドシェアの問題にくわしい川上資人弁護士は「海外では、ウーバーに反対する雰囲気が生まれている」と語る。ウーバーがドライバーの労働環境を破壊しているとの批判があるからだ。

4月25日に厚生労働省記者クラブで記者会見を開いた川上弁護士によると、ウーバーではドライバーが請負労働者として扱われている。直接の雇用関係にないため、会社が社会保障のコストを負担せず、労働者としての権利も認められない。結果として、働き方が不安定になっているという。

また、登録運転手が増えていることから、長時間働かないと収入を得られない構造もあるそうだ。安価なドライバーが大量に参入したことから、既存のタクシードライバーの収入も大きく減少しているという。これらの問題を受け、デンマークではウーバーを規制する法律ができ、今年4月18日付で同社が撤退する事態が起きている。

●タクシーが高いのは各種規制があるから

「車は密室空間。ドライバーは安全な人であってほしいし、運転も安全であってほしい」。そう語るのは、ウーバー発祥の地・米サンフランシスコでタクシードライバー組合の代表を務めるマーク・グルバーグ氏だ。

ウーバーについては、ドライバーによる乗客への暴行事件が度々報告されている。また、プロのドライバーではなく、輸送事業者に課せられる規制の影響を受けないため、安全性が保証されていない。「規制なしに導入されることが、利用者にとって良いことなのか考えてほしい」(グルバーグ氏)

グルバーグ氏や川上弁護士は4月26日午後5時半から、ライドシェアについて考えるシンポジウム(主催:交通の安全と労働を考える市民会議、日本労働弁護団)を衆議院第一議員会館で開く。サンフランシスコの労働者たちの生の声から、「ライドシェア」の課題を問うとしている。

(弁護士ドットコムニュース)