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クルマがどんどん重くなる理由

次期型アウディA8のように、クルマが重くなる理由は大きく分けてふたつある。

ひとつ、装備である。

より優れたオート・エアコン、インフォテインメント、カー・コネクション・テクノロジー、厚いガラス、マルチ・ファンクション電動シート、エア・サスペンション、今までみた事もないような大きなホイール。これら全てが重量増の原因なのだ。

ふたつ目に安全。安全装備といったら単にブレーキといわれる時代もあった(運も従うが)。

しかし今日の安全装備といったら、ABS、DSC、自動緊急ブレーキ(ユーロNCAPで、最後のアイテムなくしては、5つ星は獲得できない)。

さらに先進のドライバー・アシスト・システムを挙げだしたらきりがない。歩行者衝突時対応ボンネットが要求される時代なのだから。

重くなるのは、部品増だけが理由ではない

軽量化は、燃費を改善する最も単純な方法だが、モーター、コントローラー、ワイヤー、インバーターに大きなバッテリーからなる電動パワートレインを採用するとなれば、大きな重量増となる。

部品が多くなるだけではなく、これらの追加された部品達を収納し、衝撃から守る車体構造も必要なのだ。

新型A8のボディが旧モデルと比べて重いのは、ロング・ホイールベース・モデルに追加されたパノラミック・サンルーフ、改善された衝撃吸収構造、リチウム・イオンバッテリーが供給する48ボルト電気システムのインフラなど、これら全てが重量増につながっているからだ。

つまり、今日のクルマ造りにおいて、軽量化はかつてと比べて非常に厄介な課題である。

アウディをはじめとするメーカーが試みいているのは、重量増加のスパイラルを逆転させることである。2017年モデルのA4オールロード・クワトロのようなケースでは、旧モデル比で90kgの軽量化が実証されている。(あまりある例ではないが)

ひとつ、確実に言えるのは、われわれが軽量化技術と聞いた時、それが軽量なクルマを生み出す技術と考えてはいけないという点。あくまで、そのクルマの本来の重量を「重くしない」技術なのである。