韓国市場は3月12日に朴前大統領が罷免された直後も上昇。足元景気の好調もあって「悪材料出尽くし」とかえって好感買いが集まった

写真拡大

隣国、韓国が騒がしい。ご存じ、朴槿恵前大統領の“親友”による国政介入事件により、サムスン副会長の逮捕、大統領の罷免と、ゴタゴタ続き。だが、政情不安と比例するように株価が上がってた!? 奇妙な韓国市場を徹底調査!

◆韓国総合株価指数が年初来高値更新!

 3月21日、朴槿恵前大統領がソウル中央地検に出頭した。憲法裁判所の罷免決定により失職してから9日ぶりに姿を現した朴氏は「国民の皆さんに申し訳ない。誠実に取り調べに応じる」とコメント。その日だけで16時間も取り調べを受けることとなった……。

 ご存じのとおり、そもそもの発端は朴氏の“親友”とされる崔順実被告による国政介入疑惑だ。朴氏が一般人である崔被告に対して国家機密を漏洩し、崔被告の収賄や職権乱用にも加担したと疑われているのだ。この事件をめぐっては、韓国最大の財閥であるサムスングループの「総裁」、李在鎔サムスン電子副会長も、贈賄など5つの容疑で逮捕されている(朴槿恵前大統領は31日未明逮捕)。

 このサムスングループは韓国GDPの約20%を稼ぎ出す国家の大黒柱。“親友”の国政介入疑惑は、韓国の屋台骨をも揺るがす一大スキャンダルとして注目を浴びているのだ。となれば、韓国経済もガタガタか? 多くの人はそう思っただろう。だが、事実は小説よりも奇なり。SBI証券投資調査部の榮聡シニアアナリストが話す。

「3月12日の日曜日に朴前大統領が罷免されて、翌13日からの1週間で見ると、全世界のマーケットのなかで韓国市場のパフォーマンスが香港に次いで2番目にいい。KOSPI(韓国総合株価指数)の上昇率は2.8%にもなりました。全人代を終えて買い安心感が広がった香港とは、対照的な政治情勢にある韓国ですが、実は足元の経済は好調。企業の景気動向は右肩上がりです。2年連続で減少した輸出も足元では回復しており、直近の輸出と輸入はともに前年同月比20%増という好調ぶり。世界的な景気回復の流れを受けて、輸出大国・韓国も息を吹き返してきているのです」

 驚くことに、KOSPIは目下、年初来高値を更新中。それどころか、トップの逮捕に揺れるサムスン電子も過去最高値を更新するという好調ぶりを維持しているのだ。

 サムスンといえば、昨年は「Galaxy Note7」の発火問題を受けて回収騒動に見舞われたはず。それにより、昨年の第3四半期決算では営業利益が前年同期比96%減を記録した。なのに、なぜ株価はこんなにもいいのか……? 経済評論家の加谷珪一氏が解説する。

「半導体メモリ事業と、有機ELスクリーンや液晶ディスプレイを含むディスプレイパネル部門が絶好調。対ドルで韓国ウォン安が進んだ影響もあって、最終的に’16年度営業利益は前期比10%増を達成しています。副会長の逮捕が経営不安に繋がりはしないのか?と思われるかもしれませんが、’14年に李健煕会長が倒れて以来、カリスマ不在の局面を乗り切るために共同経営の態勢が整えられました。だから、いわゆる“ボンボン”の李在鎔副会長がいなくなったところで影響はない、と株価は好調を維持しているのです」

 加谷氏曰く、朴前大統領に関しても同じことが言えるという。要は、罷免されたことを受けて、政治的混乱という悪材料が出尽くし、韓国市場では買い戻しの動きが本格化したというわけ。それだけに、今後、韓国市場は一段高となる可能性が高いという。

◆韓国独占の有機ELは年率20%成長を持続!?

「液晶が不得意とする細かい明暗表現をクリアし、低消費電力という利点のある有機EL市場はサムスン電子とLG電子の独占状態。この有機EL市場は毎年20%近い成長を遂げると言われており、サムスンを屋台骨とする韓国経済も成長が続く可能性が高い。にもかかわらず、韓国市場は世界的に出遅れ感が際立っています。直近の各国のPERを見ると、インド証券市場が20倍、NY市場18倍、東京市場16倍なのに対して、韓国は9.8倍。年初来高値を更新していても、まだまだ割安なのです。韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐって、中国が“観光制裁”を打ち出したり、北朝鮮のリスクも高まっていますが、韓国市場の上値余地はまだまだ大きい」(加谷氏)