開幕直前で二軍に降格も、ファームで猛アピールを見せる広岡

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◆ イースタンを賑わす男たち

 プロ野球2017シーズンの開幕を前に、ひと足先に幕を開けたファームの公式戦。まだ始まって間もない段階ではあるが、イースタンでは球界の明日を担う若き打者たちが輝きを放っている。

 キーワードは『高卒2年目』。この世代といえば、ドラフト1位でプロ入りした平沢大河(ロッテ)やオコエ瑠偉(楽天)といったところが大きな話題をさらっていたが、ここに来て新たな才能が頭角を現しつつある。

 ここでは右も左も分からない1年目のシーズンを終え、2度目のキャンプを経て好スタートを切った4人の男たちを紹介したい。

◆ 愛斗(西武)

6試 打率.480(25-12) 本2 点9

盗塁1 四球2 死球1 三振3 併殺打1

長打率.880 出塁率.536 OPS1.416

 地元・埼玉の花咲徳栄高からドラフト4位で西武に入団。走攻守3拍子揃った大型外野手として3年夏の甲子園で打率5割をマーク。チームの8強入りに大きく貢献した。

 昨年は1年目からファームで74試合に出場。打率は.201も5本塁打で21打点を記録するなど、ウリであるパンチ力を発揮。実戦で経験を積み重ねると、迎えた今シーズンは開幕から猛打爆発。3試合目からは4番を任され、ここまでの6試合で.480というハイアベレージを記録している。

 中村剛也や中島宏之、栗山巧、浅村栄斗、さらには森友哉などなど高卒スラッガーが伝統的に多い球団において、突如現れた新星にかかる期待は大きい。開幕ロケットスタートを切った19歳から目が離せない。

◆ 広岡大志(ヤクルト)

3試 打率.462(13-6) 本3 点4

盗塁1 四球2 死球0 三振2 併殺打0

長打率1.154 出塁率.533 OPS1.687

 智弁学園高からドラフト2位で入団した超有望株。その背格好やフォームから“山田2世”の異名を取り、次代のチームを背負う男として大きな期待がかかっている。

 昨年はいきなりファームで113試合に出場。打率.218で2ケタ・10本塁打、47打点をマーク。さらに1年目から一軍デビューも果たし、“ハマの番長”こと三浦大輔からプロ初アーチも記録した。

 さらにシーズン終了後も休むことなく、U-23・W杯やアジアウインターリーグとみっちり野球漬けの日々を駆け抜けた逸材。春は一軍で名伯楽・杉村繁コーチのもとで鍛えられるなど、まさに“英才教育”ですくすくと実力をつけている。

 開幕直前の二軍落ちという悔しい思いを味わったが、それに発奮するように合流から3試合で3発の大暴れ。悔しさを糧に、ここからの逆襲に期待したい。

◆ 平沼翔太(日本ハム)

5試 打率.316(19-6) 本0 点3

盗塁0 四球1 死球0 三振1 併殺打1

長打率.368 出塁率.350 OPS.718

 敦賀気比高からドラフト4位で日本ハムに入った第87回センバツ優勝投手だが、球団は男の“野手”としての才能に目をつけていた。

 内野手としてプロ入りすると、昨年はショートをメインにファームで91試合に出場。本塁打こそ0本も、71安打を放って打率.243を残した。今年は守備にはつかず、指名打者としてここまで5試合に出場。3割を超える打率を残すなど、好スタートを切っている。

 バリバリのエースピッチャーから一転、プロの世界で野手に生まれ変わるという大きなチャレンジも、すぐに順応できてしまうのはずば抜けた野球センスがなせる業。ここからの成長に大きな期待がかかる選手の一人だ。

◆ 網谷圭将(DeNA)

6試 打率.261(23-6) 本2 点3

盗塁0 四球3 死球0 三振11 併殺打0

長打率.522 出塁率.346 OPS.868

 最後に紹介する網谷圭将は、上述の選手たちとは少し違う。彼らは甲子園で活躍するなどアマチュア時代からそれなりに名があった選手たちだったのに対し、網谷には甲子園の出場歴もなければ、育成ドラフトでプロの世界に飛び込んだ選手なのだ。

 千葉英和高から育成ドラフトの1位でDeNAに入団。しかし、その類まれな打撃センスがアレックス・ラミレス監督の目に留まると、いきなり一軍キャンプにコールアップされた。

 ところが、練習試合で左手骨折のケガ。3月に手術を受けると復帰は夏場まで遅れ、結局19試合の出場で打率.184と持ち味を発揮できずに1年目のシーズンを終える。

 それでも、オフに派遣されたアジアウインターリーグでは16試合の出場で打率.407、6打点の大活躍。ラミレス監督からは「筒香になれる。スーパースター候補だ」という大きな期待を受け、一軍キャンプに抜擢された。

 ファームでは打率こそ.261となっているものの、持ち前の長打力は健在。26打席で11三振と粗さも目立つが、まずは今季中の支配下登録を目指してひたむきにバットを振る。