日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、3月2日に来日した。自宅のあるフランス・パリから、日本へ戻ってきた。

 到着時の様子が早速ニュースになったが、なぜ2日の再来日だったのだろう?

 なぜ、国内サッカーのシーズンインに間に合わせなかったのだろう?

 2017年のシーズンは、2月7日のACLからスタートした。ガンバ大阪がジョホールとのプレーオフに臨んだ。その前後にはニューイヤーカップが沖縄、宮崎、鹿児島で開催された。

 Jリーグの公式戦としては、2月18日にスーパーカップが行われた。同21日からはACLのグループステージが開幕し、本戦出場を決めたガンバ、鹿島アントラーズ、浦和レッズ、川崎フロンターレの4チームが、アジアの頂点を目ざす戦いへ足を踏み出した。

 そして、J1リーグが2月25日に開幕した。

 東京とその周辺に行動範囲を限っても、スーパーカップ、ACLの2試合、J1リーグを少なくとも1試合、スタジアムで観戦することができた。ガンバのホームスタジアムへ足を延ばせば、さらに2試合をプラスできた。2月だけで6試合、最低5チームの戦いをチェックできた。

 ハリルホジッチ監督が不在の間も、代表スタッフが視察をしてきた。J1、J2の多くのクラブがキャンプを張った宮崎では、手倉森誠コーチが精力的に動いていた。年代別代表の監督やコーチも、キャンプ地を巡っていた。日本代表への招集が予想される選手の情報は、きっちり集まっているに違いない。

 それにしても、である。

 今シーズンのJ1リーグには、清武弘嗣、太田宏介、権田修一、工藤壮人、高萩洋次郎、小野裕二ら、海外から戻ってきた選手たちがいる。Jクラブ間の移籍も活発だった。代表クラスの選手では、林彰洋と六反勇治の両GKが新天地を求め、ハリルホジッチ監督のもとで代表デビューを飾った川又堅吾、スピードスター永井謙佑らが、心機一転のシーズンを迎えている。注目すべきJリーガーは多いのだ。

 おりしも、海外組の一部選手が不安要素となっている。

 所属クラブで出場機会を得ていない海外組を、これまでと同じように引き続き招集するのか。違う選手を選ぶのか。選ぶとしたら誰にするのか。そうした判断を下す材料として、Jリーグの視察を充実させるべきだろう。

 Jリーグ開幕に来日が間に合わなかったのは、それなりの理由があったのかもしれない。ただ、国内リーグは代表チームの土台である。ハリルホジッチ監督には、開幕節から視察をしてほしかった。監督自身がスタジアムへ足を運ぶことで、選手たちのモチベーションはいつも以上に高まる。選手たちと握手をかわし、肩を叩いて激励するのも代表監督の仕事に含まれる。

 繰り返しになるが、Jリーグにも見るべき選手は多いのだ。ハリルホジッチ監督のハードワークに期待したい。