「お年玉は預かっておくね」と言いながら使いこまれたらこれも一種の虐待?

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お年玉シーズンである。大人たちにとっては、親戚の子どもたちにあげるお年玉の額をめぐって話しあったり根回しが行われる時期でもあろう。一方でこの時期は子供にとって数少ない大金を扱う機会でもある。彼らは、もらったお年玉からお金について多くのことを学ぶ。それは大いに結構なことではあるが、実際子供にウン万円というお金を持たせておくのは危なっかしいという意見もあるだろう。「教えて!goo」にも、「子どものお年玉やお祝い金について」という、お年玉など子供宛の臨時収入を親が管理すべきか否かに関する質問が寄せられている。

■何歳からなら子供に管理させられる?

まず、質問者が過去に自分のお年玉を親に使い込まれたという発言に対して多くの共感が寄せられていた。一方では、子供宛てのお金は子供名義として管理し、成長して物入りになった際に使えるようにするべき、という意見が多数を占めていた。ただお金の管理を覚えさせ始める年齢については多少のばらつきがあった。

「一番上は今年小3、2番目3番目も年長・年中になり、そろそろ自分のお金というものも分かってきたので、(中略)去年JAバンクにこども名義の口座を開き、お年玉やおじさんたちからいただいたお小遣いを貯められるようにしました。ゆうちょの方(祝い金用)も私が使い込むつもりはなく、教育資金や結婚資金にする予定です。使わなければ、結婚したときに持たせてあげてもいいと思っています」(tenki84さん)

「お年玉全てがお小遣いというのは多いように思います。親が管理してよいと思います。自分で管理するなんて、大学生か20歳か社会人からで充分ではないでしょうか」(ayu4さん)

「(お年玉は中学生までにして)娘(中2)名義の口座を開設し、そこに毎月5万円の小遣いを振り込んでいます。学校の授業料や教科書、習い事の月謝以外は、自分で必要に応じてそこから引き出して使うようにさせています。それでちゃんと小遣い帳をつけさせ、毎月私が見て指導していますが、今のところ、無駄遣いもなくきっちり管理できています」(Prairialさん)

「勿論管理は親がします、子供に通帳は見せています。何時から子供に管理さすかは難しいかと思いますが、義務教育が終わる中学卒業までは親が管理しようとは思ってます、その後は大学に行きたいなら、ちゃんと残して置けよっとは言うつもりです」(sinnei7777さん)

お金にまつわる教育方針は、家庭ごとに多様である。「何歳からがベスト」という画一的な言説は、家庭とその子供を取り巻く経済事情や、環境の面から当てにならない。日々子供を観察しながら、将来お金で困ることのないよう子供の疑問に答えて知識や理解を育んでいくことと並行して考えてみてはどうだろうか。

■お年玉の使い込みは虐待?

ところで、質問者の経験にもあったように、実際にお年玉の使い込みは何らかの法律に抵触するのだろうか。今回は親子という関係上、子供は親の広範な監督権のもとにあるため、一般的な民事上、刑事上の法律を適用するのは簡単ではない。そこで、虐待の観点から、お年玉の使い込みに一矢報いることは可能であろうか。この問題について、星野法律事務所所属の木川雅博弁護士に解説していただいた。

「お子さんのお年玉を預かったまま返さなかったり、罰としておやつを抜きにしたりした程度では(虐待とみなされ)親権に制限が加えられることはありません。親権に何らかの制限がかかるのは、虐待やお子さんの財産の浪費など、親権の濫用や親として不適切な行動がある場合です。過去の例では、娘に性的虐待を繰り返したケース(親権喪失)、臓器移植が必要な子の臓器移植ネットワーク登録抹消手続を取ったケース(親権停止)、子が受け取るべき生命保険金を自分たちの返済に充てたケース(管理権喪失)などで、親権に制限が加えられています。ただ、自分ではお子さんへのしつけと思っていても客観的に虐待に当たる行為は許されませんし、虐待に対しては児童相談所や裁判所も厳しく対処・判断する傾向にありますので、万が一にも親権が喪失・停止されることのないように注意してください」

虐待か否かという判断は、木川弁護士の言うように、主客入り交じる事情のために容易ではない。しかし、お年玉の使い込みにも限度がある。子供名義の口座で管理している100万円以上のお金を使ってしまった場合にも、親権制限の条件である財産の浪費と見なされず、今回と同じ判断を下すことができるだろうか。親子間のお金は、有耶無耶にしようとすればできてしまうものである。しかし、子供に「お金」の大切さを教えるには、まずはそうした境界線をはっきりとさせ、けじめをつけていかねばならない。

ライター 樹木悠

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