長友佑都(撮影:岸本勉/PICSPORT)
12日、練習後に取材に応じた長友佑都は体調について「もう問題ないです。多少の熱が出たぐらいだったんですけどね。すぐ引いたんですけど。なんの症状もなく」と語った。

9月のUAE戦、タイ戦は右ふくらはぎを痛めて欠場、10月のイラク戦は温存されたが、オーストラリア戦は練習中の脳しんとうの影響で外れるなど、3次予選(最終予選)になってからは出場機会がない。

いつも明るく元気な長友だが、この日は落ち着いたコメントに終始した。そしてこんな気になる話もしている。オマーン戦で出場した両SB、酒井高徳と酒井宏樹について聞かれたときのことだ。自分が出たらどんな違ったプレーを出せるのか。そんな質問にこう答えた。

「自分が付け加えられるものなんてないですよ。彼らのほうが持ってる能力は本当に高いですしね。僕は本当に歳から来る経験で何とか頑張ってるだけなんで。彼らは能力もあるし、今ヨーロッパでやってて自信も付けてるし、テクニックも僕よりあるし。いい選手だなと思いながら見てますけどね」

この発言の前には世代交代について、「僕らが初めて代表に入ってポジションを奪ってきたように、僕らから若い選手のポジションを奪わなければいけない。まぁ言ったら30歳を超えた選手たちがね、何人も何年もでてるということ自体が、世代交代だったり、そういう意味で、底上げだったり、うまくいってないという証拠」と、まるで自分が淘汰される目前というような発言をしていたのだ。

長友の謙虚さの表れかもしれないし、他の選手たちへの激励かもしれない。だが、10日の練習後に香川真司が語っていた言葉と同じだとも受け取れるのだ。長友も香川と同じく、世代交代の波にさらされ、焦燥感を持っているのではないか。

選手起用については「監督の意見を尊重してしっかりと受け入れて、出ても出なくても自分がチームのために何が出来るのか常に考えてないと」いけないと、まるで先発落ちを覚悟しているかのような言葉遣いだった。

もっとも、そうは言いながらも出場の準備はしっかりと進めている。サウジアラビアの特徴は「サイドバックがすごく高い位置を取ってくる」ことだと分析していた。そして「僕だったらサイドバックと前の選手との守備の掛け合いというか、意思統一みたいなものはしっかりしてないと、そこで数的優位を作られたりというのは危険だと思うので、しっかり話し合いたい」と対抗策を考え、さらに両サイドバックの背後を突きたいという攻略法も考えていた。

ベテランの経験を取るか、若さの勢いを取るか。サウジアラビア戦でのハリルホジッチ監督の選択が注目される。

【日本蹴球合同会社/森雅史】