「糖質オフ」や「炭水化物抜き」といえば、もはやダイエットの定番。

それに加えて最近では、「MEC食」というダイエットも注目されています。「MEC」とはMeat=肉、Egg=卵、Cheese=チーズの頭文字を取ったもの。

1日の食事の基本となるのは肉200g、卵3個、チーズ120gに少量の葉野菜を加えたもので、ひとくち30回噛んで食べるのもポイント。

このダイエットは肥満の人に効果があり、体重105kgの女性が1年で50kgも痩せたケースもあるそうです。

しかし、食べるものを制限したり、特定のものを食べたりするダイエットは、大きな効果が期待できる反面、自分の判断だけで行っていると思わぬ健康トラブルを招く場合があります。

今回は管理栄養士の望月理恵子さんに、これらのダイエットにどのような危険があるのかを伺いました。

■1:タンパク質のとりすぎは腎臓の負担になる!

MEC食で基本となる肉、卵、チーズは、高脂肪、高コレステロール、高タンパク質。このような食事は遺伝的に血中脂質が高い人はNG。まずは、健康診断で異常値がないことを確認してからはじめてください。

また、体内に入ったタンパク質のうち、余分なものは肝臓や腎臓で分解されて排泄されます。そのため、タンパク質が過剰な食生活を続けると、それらの臓器に負担がかかり、病気を招く恐れもあるというのです。

■2:チーズの塩分はむくみや代謝低下につながる

チーズは塩分が高い食品。

塩分の摂りすぎはむくみや代謝の低下などにつながり、ダイエットには逆効果。

日本人はもともと味噌やしょう油などを多く使うため、塩分過多になりがち。腎臓にも負担がかかるので、特に持病がある人は注意が必要です。

■3:赤身肉を摂りすぎるとガンのリスクが高まる

さらに、赤身肉や塩分の摂りすぎは、がんの要因になるといわれています。

特に女性は毎日赤肉を80g以上食べると結腸がんのリスクが高くなるといわれています。

また、国際がん研究機関はソーセージやハムなどの加工肉を1日50g食べると、大腸がんを患う確率が18%上昇するという研究結果を公表しています。これはタバコなみのリスクに匹敵する数字です。

■4:糖質制限を続けていると体臭が出やすくなる

糖質を制限すると脳の栄養分が不足するため、イライラしやすかったり、集中力が欠けたりします。

また、体内で糖質が不足するとケトン臭といういわゆる“ダイエット臭”がして、口臭や体臭が出やすくなります。

自分では気づかず、周りの人から指摘されて初めてわかるということもあるかもしれません。

■5:糖質制限を続けていると死亡率もアップする

国立国際医療研究センター研究所の論文で、「総摂取カロリー中、糖質が3〜4割のグループ(=中糖質群)は、6〜7割のそれ(=高糖質群)と比べて、死亡率が1.31倍だった」「糖質制限ダイエットを5年以上続けると死亡率が高まる可能性がある」と発表されました。

この説には反論もあるようですが、極度の糖質制限を自己判断で長年続けることは避けたほうがよいでしょう。

そもそも卵やチーズには食物繊維・ビタミンCはほとんど含まれません。そのため、便秘になりやすく、美容のためにもおすすめできません。少量の葉野菜を食べたとしても、充分な量をまかなうことはできないのです。

生理中はホルモンバランスが不安定なので、糖質制限やMECに限らず、ダイエットをはじめるのであれば、生理でないときにスタートするのが良いです。

また、生理中は貧血になる人も多いため、鉄分をしっかりとることが大切。血液の循環をよくするビタミンEやイライラを和らげるビタミンB1などバランスよく食べることが大切です。

望月先生によると、糖質制限やMEC食はもともと主食をたくさん食べている人や、甘い物が好きな人には痩せやすいダイエットだそうです(とはいえ、その分ストレスは多くなりますが……)。

また、体の負担を少なくするためには3ヶ月行って、1ヶ月は休むなどのサイクルをつくると安心です。ダイエット中に体調がおかしいと感じたらすぐに中断し、医療機関に相談してください。

(文/平野鞠)

 

【取材協力】

※健康検定協会を運営しながら、栄養専門誌など、幅広い媒体で執筆活動中。

 

【参考】

※椎名マキ(2015)『肉・卵・チーズをたっぷり食べて1年で50kg痩せました』講談社