VR時代に求められる「ふるまい」のインターフェイス

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MITメディアラボが数年来取り組んでいる、白いプラスチックピンを使った「立体ディスプレイ」。その最新プロジェクトは、水やゴムのような「物性」を再現し、まるで水面で遊んでいるような視覚と触覚に新しい体験を生み出すインターフェイスをつくり出した。

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2/4「弾性」|IMAGE COURTESY OF LUKE VINK/MIT MEDIA LAB

3/4「柔軟性」|IMAGE COURTESY OF LUKE VINK/MIT MEDIA LAB

4/4医療教育といった用途に、人間の体を模したディスプレイ|IMAGE COURTESY OF LUKE VINK/MIT MEDIA LAB

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マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのタンジブルインターフェイス・グループは、ここ数年の間、白いプラスチックピンを使った低解像度ディスプレイで、デジタルインターフェイスの未来を探っている。

これは、型破りなディスプレイだ。ピンの1つひとつがピクセルになっていて、地味な見た目の格子状にまとめられているだけだが、とても印象的だ。

タンジブルインターフェイス・グループでは、この最新プロジェクトを「Materiable」と呼んでいる。このプロジェクトは、ピンが3Dによって情報を表現し人間の動きに反応する「inFORM」や「Transform」といった過去のMITプロジェクトに近いものだ。

Materiableの立体ディスプレイは、ハードとソフトの両面において、水やゴム、粘土の特徴のうち「柔軟性・弾性・粘性」といった物性を模倣することによる表現の改良がなされてきた。

ピンの下に埋め込まれたセンサーがそれぞれにかかる圧力を記録し、ピン内部のアクチュエイターが圧力に応じてその動きをコントロールする。ディスプレイと相互作用し、同時に視覚的かつ立体的な体験、つまり研究者たちの言う「疑似的な触覚効果」が生み出される。

あるインターフェイスで現実世界を模倣することそのものは、新しいアイデアではない。研究者たちが論文(PDF)において言及しているように、デザイナーたちは長い間グラフィック・ユーザーインターフェイス(GUI)によって、現実世界をシミュレートしてきた。

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こうした考え方において、グーグルが構築した「Material Design」は注目しておくべきだ。同社は実際に厚紙を切り抜くところからこの「視覚デザイン言語」の開発を始め、光や影、さらには物理法則に従う動きを取り込んだ。人が3次元の世界で慣れ親しんだ実際の感触は、2次元の世界においても物事の動作を理解するのに有用だ。

Materiableは、こうしたアイデアを実際に3次元へ展開しているといえる。デジタルなインターフェイスとフィジカルなインターフェイスとの間にいかに「触覚」を構築するのか。拡張現実(AR)や仮想現実(VR)といったプラットフォームが主流になるにつれ、その問いの重要度は増している。

プロジェクトを担当する研究者の1人、ルーク・ヴィンクは次のように語る。

「わたしたちが何かに触れるとき、その動作には、コンピューターによるデジタルなアプローチとフィジカルなアプローチがあります。この2つの世界を安易に一緒にすれば、大きな混乱が引き起かされるでしょう。これは、とても複雑な問題です」