レンジャーズ・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

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「違いを生む」ダルビッシュ、米メディアは「サイ・ヤング賞候補だった頃の姿」と絶賛

 28日(日本時間29日)に右肘靱帯再建手術から復帰を果たし、670日ぶりにメジャーでの勝利を飾ったレンジャーズダルビッシュ有投手。米スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイティッド」電子版では「ダルビッシュの力強い復帰が、レンジャーズ先発ローテ立て直しを完成させる」と題し、右腕の復帰を「絶妙のタイミング」と評価している。

 最速は98マイル(約158キロ)に達する力強い投球で、5回81球を投げ、3安打7奪三振1失点という圧巻の投球を披露したダルビッシュ。記事では、「怪我前にサイ・ヤング賞候補エースだった頃の姿」を彷彿させた29歳右腕の復帰こそ、混戦が予想されるア・リーグ西地区でレンジャーズが好調マリナーズとの「違いを生む」要因になるとしている。

 力強いフォーシーム(直球)が中心となった復帰戦は、スライダーやカーブ、ツーシーム、カットボールなどパイレーツ打線を幻惑し、81球のうち空振りを13度奪った。打線の援護を受けながら、ほぼ完璧なピッチングを見せたが、もし「何か修正する点があるとすれば、2度の盗塁だった」と記事では指摘。特に、5回にセルベリに対して許した2つ目の盗塁は失点につながっただけに、防ぐ必要があったかもしれない。

ダルビッシュ復帰でレ軍先発陣は「チームを地区優勝に導く存在になった」

 さらに、今季のレンジャーズ先発ローテは、1年前と大きく様変わりしたと言及。1年前の同時期については、「ダルビッシュとマーティン・ペレスはトミー・ジョン手術からのリハビリに励んでいた。デレク・ホランドは合わせて4ヵ月も怪我で戦線離脱し、コール・ハメルズはまだフィリーズの一員だった」と振り返り、現在、ダルビッシュが復帰したことにより、ハメルズ、ホランド、ペレスに加え、元広島コルビー・ルイスが奮闘するレンジャーズ先発ローテは「チームを地区優勝に導く存在になった」としている。

 ダルビッシュ復帰以前でも、レンジャーズの先発ローテは防御率3.53をマークし、打者有利とされる本拠地ながら、ア・リーグでトップだったという。だが、記事では、ハメルズ、ペレス、ルイスの3人が、100以上がいいとされるERA+(防御率傑出度)で131〜141の数値を出す一方で、ハメルズとルイスは9イニングあたり1.7本塁打を許し、ハメルズとペレスは四球数が多く(ペレスは9回あたり5.4四球)、ルイスとペレスの奪三振率はリーグ平均を下回るというデータを紹介。不安要素もここかしこに潜んでいるようだ。

 そんな時に復帰したダルビッシュの存在は心強いに違いない。6月上旬には、地区ライバルのマリナーズと6戦が予定されており、スケジュール通りならばダルビッシュは2度マリナーズと対戦する予定だ。特集では、「今後、手術からの完全な復帰を目指す中で山にぶつかることもあるだろうが、復帰戦のパフォーマンスが何かを意味するなら、ア・リーグ勝率4位のチームにエースが舞い戻ったということだろう」と、ローテーションの軸となる活躍に期待を寄せている。