新布陣を機能させた金崎・岡崎・清武のトライアングル…彼らの連係が日本の希望の光に

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「具体的には話せないけど、少し変わると思います。少しっていうか、だいぶですね(笑)。意外と言えば意外ですけど、分析した結果、それをチョイスしたと(監督が)話していたので」と宇佐美貴史(ガンバ大阪)が23日の前日練習後に語った通り、24日の2018FIFAワールドカップロシア アジア2次予選に挑んだ日本代表は[4−4−2]の新布陣を採用した。

 2トップに岡崎慎司(レスター/イングランド)と金崎夢生(鹿島アントラーズ)が並び、中盤は清武弘嗣(ハノーファー/ドイツ)がトップ下、原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)が右MF、柏木陽介(浦和レッズ)が左MF、長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)がアンカーというダイヤモンド型。最終ラインは右から酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、森重真人(FC東京)、長友佑都(インテル/イタリア)、GKには東口順昭(G大阪)という顔ぶれだが、酒井宏樹と長友がウイングに近い、高い位置を取る超攻撃的な形だった。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の「たくさん点を取って勝ちに行く」という姿勢が強く出ていた。

 しかし、前半は相手の粘りと急造システムのギクシャク感が出て、思うように得点を奪えなかった。特に気がかりだったのが、サイドの縦関係だ。右の原口と酒井宏、左の柏木と長友の動きが重なる場面が多く、攻めのパターンが中央に偏り気味になってしまう。相手選手が負傷した28分にはキャプテン長谷部の号令によって、11人全員が円陣を組んで話し合いを行う場面も見られた。

「(柏木)陽介と僕が同じように(サイドに)張っておくんじゃなくて、陽介が中に入れば僕が張るとか、陽介が張るなら自分がちょっと中で受けるとか、そういう距離感のことを監督から試合中に言われていたので、それを伝えた。そこから徐々に良くなっていった」と長友も話したが、確かにこの時間帯を境にリズムが良くなり、前半終了間際の岡崎の先制点につながる。清武の縦パスを受けた岡崎が巧みな反転から相手DFをまた抜きして左足シュートを放つという“技あり弾”だったが、2トップの相方である金崎も斜めに走ってマークをズラすのに貢献していた。

 彼ら3人の連係は、後半に入るとより一層、磨きがかかる。清武のパスを金崎がリターンし、それを再び背後へ走る岡崎へ送るといった“パスの出し入れ”が頻繁になり、相手守備陣も混乱。ギャップがあちこちに生まれ始める。金崎の浮き球のパスに清武が飛びこんだ58分の2点目も、良い感覚の共有が色濃く見て取れた。それ以外の場面でも、3人が絡んで数多くのチャンスが生まれている。最近の停滞感を払拭するような勢いと迫力を彼らがもたらしていた。

「今日は僕がキヨ(清武)と2人で下がって、2シャドー的な感じになりつつあったので、それで良い形ができたと思う。そこから自分もゴール前に入って行った。(金崎)夢生が本当に貪欲すぎるので(笑)。でも、うまく合わせようとしなくて、3人とも感覚的にサッカーができていたので、楽しくやれていた」と岡崎も強調したが、この3人の関係がうまくいったからこそ、リスクを冒してトライした新システムでも一定の成果を残すと同時に、5−0の大量得点勝利を挙げられた。そう言っても過言ではないだろう。

 そもそもご存じの通り、岡崎と金崎は滝川第二高校の先輩後輩だ。金崎が1年生の時、岡崎は3年生でキャプテンだった。「高校の時はあまり喋ったことはなかった」と岡崎は言うが、金崎は絶対的な信頼を寄せていた。昨年11月のシンガポール戦で金崎がハリル体制初招集初先発となった時も「慎司さん、どういうプレーすればいいですかね」と相談を持ち掛けている。岡崎は「自分の好きにやればいい」と答え、その教え通りにピッチに立った彼は代表初ゴールという結果を残した。今回も2人は戦術に縛られることなく、それぞれの感性を大事にしながらプレーした。「夢生とは自分たちがぞれぞれ勝手にやってる感じなんで」と岡崎は笑っていたが、それが彼らにとって理想的なスタイルなのだ。