「わが子が可愛いと思えない」そう思ってしまう母親がいる理由

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『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』の著者で、日本と欧米の優れた点を取り入れたしつけを提唱している平川裕貴です。

「上の子が可愛くない」のは当たり前! 子育てママが気にしなくていい理由【症候群】

筆者は前回、『「上の子が可愛くない」のは当たり前! 子育てママが気にしなくていい理由』という記事を書きましたが、今回は、上の子とか下の子とか、男の子とか女の子とか関係なく、「わが子がかわいいと思えない」というケースを考えてみたいと思います。

わが子なのに、なぜかわいいと思えないのでしょうか?

母親となった人の性格や生い立ちや環境など様々な要因があると思いますが、一概に育児ノイローゼで片付けてしまえるものでもないと筆者は思っています。

今回は、まったく別の視点から、わが子がかわいいと思えない理由を探ってみたいと思います。

わが子がかわいいと思えない母親

筆者の知り合いに、「どうしても下の子としっくりこない、かわいいと思えない」と悩んでいた母親がいました。

男の子二人を持つ彼女は、インテリで頭もよく、性格も明るい人でした。

下の子が特に反抗的なわけでもなく、母親である自分を困らせるようなことをするわけでもない。むしろ、手がかかるのは、上の子なのに、自分でもどうして下の子をかわいいと思えないのか、わからないと言っていました。

もう一人は、子どもを生んだ時はそれなりに感動もしたのに、成長するにつれてかわいく思えなくなったという母親です。

娘のやることなすことに、理由もなくイライラしてしまい、何をやってもきつく当たってしまうというのです。時には、思わず手をあげそうになって、自分は母親として失格、そのうち娘を虐待する母親になりそうで怖いとも。

二人ともごく普通の家庭で、両親にかわいがられて育った記憶しかなく、理由がまったく分からないと落ち込んでいました。

気が合う人と合わない人

筆者は、「わが子がかわいいと思えない」と言う人達の中には、人の相性が関係している場合もあるのではと考えています。

初対面でも、顔を見ただけで「この人とは気が合いそう」とか、「この人ちょっと嫌なタイプ」なんて思うことがありますよね。

きっとお母さん達にも、気の合う人や合わない人がいると思います。

これが言ってみれば相性なのですが、こういう感情がどこから湧いてくるのか、人間はあまりにも複雑すぎてわかりません。

ただ、統計的に見て、筆者が頭にとめている数字があります。それは、2:4:2:2 という数字です。

2:4:2:2の意味

この2:4:2:2 は例えば人が10人いたと仮定して、最初の「2」は、あなたが顔を見ただけで、「この人好き、すごく気が合いそう」と思える人の数(割合)です。

次の「4」は「すごく好き」とまではいかないけれど、「好感の持てる人」「どちらかと言えば好きな人」です。

次の「2」は、別に嫌いじゃないけど、自分から積極的に親しくなろうとは思わない、「どちらかと言えば好きではない」という人。

そして、最後の「2」は、顔を見るだけで「嫌なタイプ」という人です。もちろん顔の造作の好き嫌いもあるでしょうが、なんとなくというか、明確な理由などない場合も多々あります。

わが子といえども、最後の「2」に入る場合がある

さて、自分が生んだ子なら、絶対に好きだという最初の「2」に入るでしょうか?

答えはNO です。

自分が生んだ子とは言っても、子どもは自分のコピーではありません。夫のDNA、さらには両方の先祖のDNAも受けついで生まれてきているかもしれません。

子どもはまったく別人格の人間。たまたま親子という関係で生まれてきただけなのです。

ですから、わが子と言えども、後ろの2:2 に入る可能性は十分あるのです。

虐待してしまう親で、別に自分は虐待を受けて育ったわけではないという場合は、こんな最悪の相性なのかもしれません。

わが子との相性が悪い場合の気持ちの切り替え方

相性が悪いのだから、どうしようもないし、子どもにきつくあたっても仕方ない。

というわけにはいきません。子どもを傷つけていい理由など一つもありませんから。

そこで、考え方を変えてしまいましょう。

まずは子どもとの相性が悪いのだと割り切って、悩むのはやめましょう。母親のストレスは子どもにも伝わり、どちらにとってもよくありません。

そして、今日から親業のプロを目指してください。

例えば、幼稚園や学校の先生、看護師さんなどにも相手との相性はあるはずですが、気に入らないからと言って、教育や治療をいい加減にしたりはしませんよね。

それは、仕事としてプロに徹しているからです。

お母さんも、母親業という仕事をするのだと考えましょう。

そして、もう一つ、気持ちの持ち方としてお勧めするのは、欧米の親の考え方です。

欧米では、「子どもは社会の預かりもの」と考え、子どもが18歳になるまでは、責任を持って育てます。 でも、子どもが18歳になったら親業は終了、その後は子どもの人生と割り切って自分の力で歩ませます。

いつまでも子どもに干渉する親より、子どもにとってはずっとプラスになる親の姿かもしれません。

いかがですか?

親業を定年退職したら第二の人生、自分のやりたいことをすればいいのです。

ですから、子どもが18歳で、しっかり自立して生きていけるように、プロの親として、子育てに取り組んでみませんか。