【レポート】ASUS、法人や教育機関向けのChromebook導入事例を紹介 - 10.1型2-in-1モデルも投入へ
既報の通り、ASUS JAPANは20日、法人・教育機関向けにRDPクライアント「Ericom AccessNow」をバンドルした10.1型Chormebook「ASUS Chromebook Flip C100PA(C100PA-FS0017)」を発表した。これに合わせて記者説明会を開催し、同社のパートナー企業による導入事例の紹介など行った。
「ASUS Chromebook Flip C100PA」は、液晶部分がヒンジを介して360度回転する2-in-1 PC。厚さ15.6mm、重量約890gの薄型軽量モデルとなっている。通常のノートPCとしてだけでなく、ディスプレイの開く角度により、"テントモード""スタンドモード""タブレットモード"といった形状で利用できる。個人向けモデルは10月3日に販売を開始している。
説明会では、Chromebookや関連したソリューションを取り扱うパートナー企業がセッションを担当し、Chromebookの特長や法人・教育機関における導入事例の紹介が行われた。
まず、電算システム 企画マーケティング部 次長 相村崇氏が、Chromebookの特長と利用シーンについて説明した。相村氏はChrome OSを搭載したデバイスの特長として、デバイスの価格が安価である点や起動の早さ、OSの安全性、管理性などを挙げる。
起動の早さについて、Windows PCとChromebookを比較したところ、Windows PCではPCを起動してからブラウザを立ち上げるまでに、さまざまなポリシーの適用やスクリプトが実行で時間が取られ、平均3分26秒かかっていたが、Chromebookではブラウザが立ち上がるまでわずか7秒だったという。
また、OSの自動更新やデータストレージの暗号化といったセキュリティ機能を標準で備えるほか、Chromebookの管理コンソールから、ポリシーの設定やデータの消去、外部ストレージの制御が行えるなど、管理のしやすさをアピールする。
PCの利用者からも「WindowsアップデートでPCが遅くなることがない」「シャットダウンの待ち時間がない」「暗号化で動作が重くなることがない」といった声が聞かれたという。Chromebookの利用シーンとしては、いまのところ、社外への持ち出し用デバイスとしてや、社内の会議用端末、キオスク端末、店舗共有PC、シンクライアントといったものが挙げられるという。
続いて、シネックスインフォテック プロダクトマネジメント部門 Google課 神田秀樹氏より、具体的な導入事例が紹介された。神田氏によると、全世界で500社の企業や1万校の教育機関がGoogle Appsを利用しているという。
Chromebookも2014年は572万台の出荷、2015年は730万台の販売が見込まれるなど、順調に市場が拡大しており、企業や教育機関への導入も進んでいるという。日本国内でも私立学校やインターナショナルスクールを中心に100校以上に導入されているのことだ。
具体例として、まず個人事業主を束ねる総合物流グループのQuality Distributionの例を紹介。同社が仕事を発注する運転手のうち、半分が1年間で入れ替わり、PCやBlackberryの端末管理にコストがかかっていたという。そこでChromebookの部分導入や、メールシステムをGoogle Appsに移行することで、ITコストの削減などを実現した。
もう1つは、Bradford Central School地区の事例で、1人1台のコンピューティング環境に構築に向けて、Chromebookを導入。後述する「Ericom AccessNow」との組み合わせにより、Windowsベースのアプリなど、既存の資産を生かしつつ移行したという。
最後にアシスト システムソフトウェア事業部 仮想化推進室 営業部 主査 青木裕明氏から、「ASUS Chromebook Flip C100PA(C100PA-FS0017)」にバンドルされる「Ericom AccessNow」が紹介された。
「Ericom AccessNow」は、HTML5対応ブラウザから仮想デスクトップ(VDI)や、Windows RDS/TS、物理PC等にセキュアな接続を可能にするHTML5アクセスソリューション。イスラエルのEricom Softwareが開発する。RDP(Remote Desktop Protocol)をHTML5に変換し、リモートのWindowsデスクトップやアプリをブラウザ経由で利用できる。
クライアント側はブラウザ経由でのアクセスなので、特別なアプリケーションや設定を必要とせずに、すぐに利用できるという。また、EricomのRDP高速化技術により、画面の表示速度をはじめとして、ローカルで作業しているような操作感が得られるという。
Chromeでは「Chrome Remote Desktop」という拡張機能が用意されており、これを利用してリモートデスクトップを実現できるのだが、青木氏によると、「Chrome Remote Desktop」では、1対1のデバイス間のリモートに対応するが、1対複数で対応していない点や、リモートで利用するデバイスでChromeを立ち上げていなければならない点を指摘し、「Ericom AccessNow」の優位性をアピールした。
(千葉大輔)