米ロサンゼルスとラスベガスを結ぶ高速鉄道建設に向け、米中企業が合弁企業の設立で合意したことや、インドネシアの高速鉄道プロジェクトを中国が落札する可能性があることについて、中国メディアの古漢台網は25日、「中国高速鉄道が新幹線に勝利した理由は何か」を考察する記事を掲載した。(イメージ写真提供:(C)vincentstthomas/123RF.COM)

写真拡大

 米ロサンゼルスとラスベガスを結ぶ高速鉄道建設に向け、米中企業が合弁企業の設立で合意したことや、インドネシアの高速鉄道プロジェクトを中国が落札する可能性があることについて、中国メディアの古漢台網は25日、「中国高速鉄道が新幹線に勝利した理由は何か」を考察する記事を掲載した。

 記事は、米西部の高速鉄道を米中企業が建設する計画であることに対し、日本からは「このままでは新幹線は中国高速鉄道との競争に敗れ去ってしまう」と危惧する声があがっていると伝えた。

 さらに、アジアの鉄道市場の規模は極めて大きいことを指摘したうえで、世界中の鉄道企業が同市場を狙っていることを指摘し、その競争の中心にいるのが日本と中国だと紹介。日中両国はすでにインド、タイ、インドネシアで火花を散らしていると伝え、「タイとインドは新幹線を選び、日本が中国との勝負で勝ちを収めたように見える」としながらも、中国企業が米西部の高速鉄道建設を行う計画であることから日本では悲観的な声があがっていると紹介した。

 続けて記事は、新幹線輸出に向けた今後の日本の課題や懸念として、日本国内からは3つの指摘があると紹介。1つ目として「新幹線は安全性が高く、時間通りの運行が可能」であるものの、発展途上にあるアジアの国々にとっては安全性もさることながら、コストも非常に重要な要素となることを指摘した。

 さらに2つ目として「日本の技術は閉ざされた環境で最適化されたものであるため、ほかの技術との互換性という点で劣勢」と指摘。互換性がないために競争に敗れ去った日本の技術や製品は多いと指摘し、日本では新幹線が「ガラパゴス化」してしまうことを懸念する見方もあると報じた。

 また3つ目として、「中国高速鉄道の急速な成長」を挙げ、これまではドイツのシーメンスやカナダのボンバルディアといったメーカーが新幹線輸出における競合だったとしながらも、2000年以降に中国高速鉄道が急速に力をつけてきたことに「日本としても黙ってみているわけにはいかなくなった」と指摘。中国高速鉄道にはコストの安さという強みがあり、新興国や開発途上国の需要にも合致していると指摘した。

 さらに記事は、日本国内では「中国高速鉄道が安全ではないと思っているのは、日本人だけ」との報道もあると伝えつつ、タイやインドでは新幹線が中国高速鉄道に勝利を収めたものの、中国高速鉄道が米西部のプロジェクトを建設することになれば、今後は新幹線が劣勢に追い込まれる恐れもあると報じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)vincentstthomas/123RF.COM)