本場イタリアでは通じない、日本のイタリアンが間違えている5つのこと

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豊かな四季があり、各地方の郷土色も明確と、日本とイタリアには共通点が多い。だからなのか、日本人はイタリア料理が好きだ。

ただ、日本のイタリアンと本場のそれは似て非なるもの。独自の進化を遂げているといったらそれまでだが、グローバル化が進む昨今、本場との違いはちゃんと知っておきたい。

そんな大人なら知っておきたいイタリアンの常識を、イタリアに精通する料理研究家・小崎陽一氏に解説してもらった。

日本人の誤解1:「新鮮な魚のカルパッチョが本場っぽいでしょ!」

本場ベネチアでは生肉を使うのが正解で、鮮魚のカルパッチョはイタリアではあまり登場しない!

「日本ではカルパッチョといえば魚が主流ですが、あれはもともとベネチアの牛肉料理なんですよ。『ハリーズ・バー』っていう店が発祥で、赤い生の薄切り牛肉を皿一面に敷き詰めた様子が、同じくベネチア出身のカルパッチョという名の画家が描く赤を基調とした絵に似ているということでカルパッチョと命名されたらしいです。

今でこそイタリアでも魚のカルパッチョをちらほら見かけるようになりましたけど、やはり基本は牛肉です!」

日本人の誤解2:「食後のエスプレッソはブラックでしょ!」

生粋のイタリア人は砂糖をいっぱい入れて、甘くするのが常識!

「日本のレストランだと食後にカフェラテやカプチーノを飲んだりしますが、イタリア人はエスプレッソしか飲みません!おなかいっぱいなところに、ミルクのこってり感は重いですからね。カフェラテやカプチーノは朝飲むもの。

そしてイタリア人はエスプレッソに砂糖をこれでもかってぐらい入れます。日本だとブラックがかっこいいとされていますが、イタリアでは逆に砂糖を入れないほうがナンセンス。 苦みと甘みのバランスを楽しむのがエスプレッソの極意です」

日本人の誤解3:「トマトソースはイタリアンの要でしょ!」

イタリアといったらトマトだが、それが根付いたのは18世紀から!

イタリア料理といえばトマトというイメージが強いと思いますが、意外と歴史は浅いんです。トマトは18世紀に南米からイタリアに伝わったものなので、当然ながらそれ以前のかなり古い料理本を読むと、トマトは全く出てきません。

フィレンツェの昔ながらのミートソースは、トマトを使わないので赤くないんです! 今でもトマトをよく使うのは、イタリア全土でもとりわけフィレンツェ以南。ミラノの料理なんてソースが真っ白ですからね」

カルボナーラも、バーニャカウダーも間違い!!

日本人の誤解4:「カルボナーラはクリーミーに仕上げたいでしょ!」

イタリアでは卵とチーズのみで作るから、全然、クリーミーじゃない!

「カルボナーラはクリーム系パスタにあらず! 日本のカルボナーラには生クリームが使われてますけど、イタリアのカルボナーラにはまず入ってません。卵とチーズとグアンチャーレっていう豚の頬肉の塩漬けだけ。

ただ生クリームなしだと卵が固まりやすくなるので、下手すると炒り卵みたいな状態になるんですが、あまり気にしないのがイタリア人(笑)。それよりもカルボナーラは炭鉱職人風なので、仕上げに黒い炭のような黒こしょうをかけるのを忘れずに!」

日本人の誤解5:「イタリアンといったらバーニャカウダーでしょ!」

実はトリノだけの局地的な郷土料理だから、イタリア全土では食べられない!

「日本の女の子ってみんなバーニャカウダーが好きじゃないですか?人気があるから日本のレストランだと大抵どこの店でも置いていて、それこそデートなら前菜でとりあえずオーダーするのにちょうどいいメニュー。

でも、あれって本当はピエモンテ州トリノの郷土料理なんです。だから同じ北イタリアのミラノなら3軒くらいは食べられるところがありますけど、フィレンツェやローマではまず食べられませんのであしからず」

イタリアンの常識を解説してくれたのは小崎陽一氏

イタリア料理研究家。イタリア料理教室と完全予約制のプライベートレストランを兼ねた『クッチーナ ジャンニ』を主宰するイケメンシェフ

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