土屋:デザートの「大学バナナ」ですね。レシピは、全部読んでからとりかかったほうがいいんですか。

宮前:そうですね、それで段取りを考えます。ひとつの行程ごとに準備しているのではどんどん遅れていきますし、その場で慌てないように。



土屋:「バナナの上下を少し切り落とす」。バナナは、手が汚れないので得意です。バナナの先端はどこまで使っていいのですか。

宮前:先まで使っていいんじゃないですか。

土屋:レシピにある「乱切り」って、委ねられている感じしません?

宮前:乱切りは、大体の大きさを揃えるのが大切です。



土屋:乱切りの良さはなんなんですか? 均等に斬るより、ゴロゴロしてておいしいぞって感じですか?

宮前: 表面積を大きくするって意味もありますね。



土屋:乱切りにも理由があったんですね。適当でいいってことじゃなかったんですね。

宮前:プロのシェフなんかは、形がきれいに、そして面がきれいに見えるようにしてますよ。大学いもの場合、さつまいもを普通に切るのと、こうして角をつける乱切りにするのでは、食感が全然ちがいます。



土屋:あぁ、なるほど。

宮前:普通だとほっこりした感じに、乱切りだとカリッとした食感になります。では、切ったバナナを油で揚げましょう。

土屋:油の量って、こんなにたくさん入れてもったいなくないですか。

宮前:でも、そんなにたくさん入れなくて大丈夫です。私はフライパンに少なめに入れて料理したりします。

土屋:余った油は流して捨てるんですか。

宮前:流しません! 流すのは自然にとって一番よくないことです。専用の粉末で固めたり、紙に吸わせて捨てます。

土屋:油の温度の測り方がわからないんですが。

宮前:例えば菜箸、お箸をいれて、箸の周りに少し泡がでてくる感じだと170〜180度。箸がジュワッとなってしまうと高温です。



土屋:そうなんですね! 

宮前:油の温度を上げている間に、カラメルソースを作ります。このレシピはすごくさらっと書いてますけど、この火を止めるタイミングがとても難しいです。イメージしているよりも早めに火をとめないと、余熱でどんどん火が入ってしまいます。

土屋:むぅぅぅ。

宮前:で、温度チェック。よし、バナナを揚げます。

土屋:バナナを揚げます!



宮前:うわああああ怖い! 揚げ物は絶対投げていれないでくださいね。

土屋:どうしたらいいですか!?




宮前:もっと下からバナナを入れてください。油に入れてハネるのは、水分がついているから。水分を拭いて入れれば大丈夫です。それから、油に入れたらあまり動かさないで。もともとナマで食べられるものだから、どれぐらいの色とかやわらかさとかは好みで…。

土屋:これ、うまくいったらパーティとかいいっすね。

宮前:………………。

土屋:そろそろかな? 



宮前:ココナッツオイルとかで揚げたりすると、またちょっと違う感じでいいですよ。シナモンシュガーとかかけてもおいしいし。

土屋:よし、均等な色に揚がりましたね。次はカラメルソース。まずは、フライパンに火をつけます。



宮前: フライパンはまだ温めないでください。

土屋:おっと。

宮前:熱いフライパンにいきなり砂糖を入れると焦げちゃいますから。

土屋:砂糖、すごい量ですね。こんなもんかな?



宮前: すごく使いますよ。どのくらい使うかわかると、ケーキとかお菓子とか食べられなくなっちゃいます(笑)。次にお水を入れて火をつけて…。それで大丈夫です。あんまり混ぜすぎないでください。 混ぜすぎると結晶化しちゃうので。 あとは、色がだんだん変わってくるので…。



土屋:溶けてますかね? 砂糖。

宮前:なんか蒸発しちゃってない?  ああ、これはたぶん失敗。



土屋:何を間違えました?

宮前: 最初にお砂糖とお水を混ぜていくところでさわりすぎちゃったのと、火が強すぎて蒸発しちゃったんですね。



土屋:もう一回やらせてください。こんなことで失敗するんですね。

宮前: じゃあ、フライパン洗いますね。さっきの通りにもう一度やってみましょう。お水とお砂糖でキャラメリゼを作って、醤油とみりんを入れて煮詰めます。

土屋:あちっ!!

宮前: フライパン熱いから気をつけてください。今日のは持ち手まで熱くなるタイプなので…。「あちっ」っていうのは、料理の初心者がよくやっちゃうミスです。手、大丈夫でしたか?

土屋:これ溶かすときって、弱火のほうが安全ですか?

宮前: そうですね。火が強いとその分、水分の蒸発が早いので。

土屋:キタか? ヤバい。バター用意しなきゃ! これ茶色くなるまで待つんですよね。なるんですか、茶色に。今のところ三ツ矢サイダーにしか見えない。

宮前:ここに、お醤油とみりんとバターを入れます。火からおろして、バナナに絡ませます。



土屋:そうか。火を切ってから絡ませるんですね。フライパンの回し方が先生っぽいっすね。どうですか? CoCoの時代は料理研究家になるなんて思ってました?

宮前: 料理はずっと好きだったけど、まったく思ってなかったです。「いつかはお菓子教室とかやろ〜」とは思ってましたけど。

土屋:そうなんですねー。バナナ、入れます。ドサッといれちゃっていいですかね?

宮前:熱いから気をつけてくださいね〜。スパチュラで絡ませます。



土屋:「スパチュラ」「乱切り」今日覚えた単語です。

宮前:これで、お皿に盛ってから、ごま塩をふります。 お皿は、白にしましょうか?

土屋:いやっ! 緑のほうがいいっすね。ここから急に自信が出てきました!

宮前: 盛り付けになったら動きが機敏になりましたね、礼央さん(笑)。

土屋:(真剣に盛りつけ中)



宮前: どうにかカタチになりましたね。盛り付けで俄然、輝きだした(笑)。シェフとかがやる、お皿の周りにパラパラって振るのもやってますね。あんまり振りすぎないで…それぐらいで。

土屋:よーし! 完成!!



宮前: (拍手)「料理男子」ですね。最後だけ手柄とる人みたいな。

土屋:ボクが作ったんじゃないですけどね! 「大学バナナ」はこれで完成です! チキンはあと14分で焼き上がりますね。待っている間、宮前さんの話を聞きましょう。