2017-0719
いくらでも好きなだけのおこづかいが使える立場にある人はごく少数に過ぎず、特に日本の就業者の大部分を占めるサラリーマンは厳しいお財布事情の中にある。欲しいものは次々沸いてくるが、使えるお金は限られる。それではおこづかい対策として、どのような分野の出費を節約しているのだろうか。その数十年に渡る節約推移を、おこづかい動向を中心にサラリーマンのライフスタイルを定点観測している、新生銀行の「サラリーマンのお小遣い調査」、及び2012年に発表したその調査の中長期的な集約レポート「サラリーマンのお小遣い調査30年白書」から、確認していくことにする(【新生銀行・おこづかい調査一覧】)。
たばこや雑誌の価格が上がり、携帯電話料金も気になる中、限られたおこづかいでやりくりするため、削れるものは削り、無駄なもの・優先順位の低いものは我慢する。サラリーマンに限った話ではないが、節約のターゲットになる項目は多種多様に及ぶ。「サラリーマンのお小遣い調査」では今件項目「おこづかい対策として削ったもの、節約したもの」について、調査を実施した年の上位陣を掲載している。そのうち「昼食代」「飲む回数・飲み代(2項目統合、上位値のみ)」「タクシー乗車」「弁当・水筒持参(2項目統合、上位値のみ)」を抽出してグラフ化した。掲載が無い年の値は無視をし、ある値の年のみを単純に線で結んでいるので、やや無理のあるグラフだが、大まかな動向はつかみきれる。

↑ お小遣い対策・節約しているもの推移(一部)(-2017年)
↑ お小遣い対策・節約しているもの推移(一部)(-2017年)

バブル崩壊を機会に、各値に大きな変化が生じている。今件項目では「タクシー乗車」「昼食代」が急降下の動きを示している。「昼食代」はその後持ち直しているが、「タクシー乗車」は下げたまま。この動きについて2012年に発表された白書では「タクシー乗車をひかえるのは当然の節約術として定着したから、あえて意識して回答するものでは無くなった」とある。いつも使っているものをひかえるのなら「節約した」と実感するが、普段から使わないものは「節約した」ではなく「当たり前」と認識する、あるいはこれ以上節約のしようが無い次第。いわゆる無い袖は触れぬ。

「昼食代」は一時1ケタ台に落ち込むが(当時は選択肢が5つしかなく設問の事情による可能性がある)、再び上昇。意識的に昼食代を削っている認識が高いことが分かる。

また「飲む回数・飲み代」は漸減を続け、2014年では15.6%にまで落ち込んだ。グラフ化は略するが「おこづかいの使い道として大きいもの」の項目では常にトップの位置にあった「飲み代」が、今世紀に入ってから「昼食代」「携帯電話代」にその座を明け渡しており、「タクシー代」同様に「節約するのは当たり前」の動きを見せつつあることが予想される。

2015年以降は一部の項目で持ち直し、つまり具体的に節約の対象としている項目への注力が増える動きを示しているが、その多くは2015年がピークで漸減。2015年の大きな値動きは消費税率の引き上げによるもので、その後も落ち方が鈍いのは、消費税への圧迫感がまだ大きいものと考えられる(実際、他項目でも「消費税によるお小遣いへの重圧は大きいまま」との結果が出ている)。

なお直近2017年において「お小遣い対策・節約しているもの」の序列は次の通り。

↑ お小遣い対策・節約しているもの(2017年)
↑ お小遣い対策・節約しているもの(2017年)

「昼食代」は意識して節約対策をしている項目の最上位にある。毎日欠かさず昼食を取り、日々購入の際に頭を悩まし、しかも商品価格の動向や購入機会の変化など情勢が流動的である以上、「節約が当たり前」と思う状況にシフトすることは無い。また「弁当持参」以外に「水筒持参」もここ数年上位項目にその姿を見せており、飲食の面で出費を少しでも抑えようとする努力が垣間見られる。



やや蛇足的な話ではあるが、当サイトでよく取り上げられるテーマとなる「書籍・雑誌」の節約動向は次の通り。残念ながら上記のグラフに挙げられた項目が上位陣を占めており、2014年以降は具体的値が公開されるほどの回答値は得らていない。

↑ お小遣い対策・節約しているもの(書籍・雑誌代)(-2017年)
↑ お小遣い対策・節約しているもの(書籍・雑誌代)(-2017年)

2割足らずで安定。思ったほど高くは無い。ただし直近までの「おこづかいの使い道として大きいもの」の動きを見ると、少しずつ順位が下がっている。すでに「携帯電話代」に抜かれているのが現状。

↑ こづかいの使い道として欠かせないもの(2012-2017年)(上位一部のみ)(再録)
↑ こづかいの使い道として欠かせないもの(2012-2017年)(上位一部のみ)(再録)

すき間時間の友が雑誌から携帯電話に移行しつつある昨今では、雑誌を利用すること自体が少なくなっているのだろう。結果として欠かせない存在どころか節約の対象となることも、今後はますます減ってくるのかもしれない。