7月になり「危機的様相」になったギリシャ財政危機の問題で、中国ではしばしば「ギリシャ人は怠け者」などとする同国や同国国民に対する“過激な非難”が発表されるようになった。背景には中国自らの「失敗」が存在すると考えられる。(イメージ写真提供:123RF)

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 7月になり「危機的様相」になったギリシャ財政危機の問題で、中国ではしばしば「ギリシャ人は怠け者」などとする同国や同国国民に対する“過激な非難”が発表されるようになった。背景には中国自らの「失敗」が存在すると考えられる。

 中国メディアの「閲読時間」は、ギリシャに進出した中国系企業の関係者の話として「ギリシャ人は怠け者」、「休暇や遅刻、早退などは日常茶飯事」と非難する文章を掲載した。深セン市の情報サイト「前瞻網」も「怠け者で借金踏み倒し」、「自立精神が欠乏」、「皆が税を逃れようとする。政府は責任を取れず、見て見ぬふり」と酷評した。

 特に「前瞻網」は、欧州連合やギリシャの問題の説明に、「大鍋飯(大きな鍋の飯)」の語を多用した。

 「大鍋飯」とは、改革開放政策の採用前の中国に存在した教条主義的な社会体制による「悪平等」を象徴する用語で、現在でも盛んに用いられる。

 「前瞻網」はEU体制を「国境をまたぐ大鍋飯」と表現。資金不足になる国には欧州中央銀行が絶え間なく支援の手を差し伸べる慣行になっていると主張。さらに、EUには他にもスペイン、ポルトガル、イタリアなど問題ある国があり、「国境をまたぐ大鍋飯」は失敗と断じた。

 さらに、ギリシャ国民性については、国営企業が極めて多く、従業員は「すなわち官僚であり、効率が悪い。(国営企業とは)災難と同義語。ギリシャの福祉は欧州で最高水準。有給休暇は多く、定年は早い。これが国家の重い負担となり、悪性の循環を招いた」などと批判した。

 中国における「ギリシャギリシャ人批判」には、改革開放を始める前の、「効率が悪く、社会全体が貧乏になってしまった」自国に対する批判と同様の内容が多い。

 中国では、ギリシャの社会体制や国民性を厳しく批判する意見発表が続いている背景には、自らの過去を振り返り「あのような状況や考え方を続けているのでは救いようがない」との気持ちが強く働くと考えられる。

 なお、中国では他国や他国民を露骨に非難する声の出ることが珍しくない。差別意識を感じる意見も多い。ただし中国の場合には「何がなんでも、全ての面でわれらの国が最高」との情念だけに凝り固まった考えは特に多くなく、他国の長所を素直に認めたり、自国の欠点を厳しく批判する意見も普通に発表されている。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)