それはなぜかと言えば、4−3−3の右「インサイドハーフ」を務めるラキティッチが、広い活動量でメッシの背後をケアしているからだ。昨季まで長年このポジションを張ってきたチャビとラキティッチでは、相手ボール時に限れば、ラキティッチの方が上だ。メッシの背後をケアする要員として相応しい人材になる。

 スアレスとラキティッチ。今季、移籍で獲得したこの2人(さらに言えば2人のGKもだが、それはともかく)は、バルサの戦力アップ、バランス維持に大きく貢献している。快進撃の原動力そのものと言うべきだろう。

 チャンピオンズリーグ準決勝第1戦で、バルサはグアルディオラのバイエルンを3−0で下した。ネットのトピックスの見出しを飾ったのは、当然のことながらメッシだった。確かに、その2ゴールは見るものを唸らせる超弩級だった。しかし、メッシの周辺で、影武者のように動いたスアレスとラキティッチの存在は、それに匹敵する価値があったと思う。

 特にスアレス。彼がもしバルサにいなかったら、あるいは、単なる右ウイングとして燻っていたら、バルサのいまはなかった。僕はそう断言したくなる。救世主はメッシと言うよりスアレス。改めてその価値を痛感させられる今日この頃なのである。