都営バス渋谷車庫の向かいに「ふれあい植物センター」という施設がある。入場料100円なので入ってみることにした。


ふれあい植物センター
前編の記事「昭和&シュールな空気漂う渋谷・都営バス営業所周辺を歩く」

渋谷区が運営する室内植物園で、近くにある清掃工場で発生する電力の供給を受けている。


「世界最大の花」ラフレシアやオーストラリア原産のレモンティー・ツリー、南アフリカ原産のオステオスペルマム、バナナ各種、マングローブといった珍しい植物が栽培されていた。


ラフレシア
レモンティー・ツリー
オステオスペルマム
マングローブ

3階のハーブガーデン
5月末までやっている企画展「半砂漠地帯に出現する花畑〜乾燥に耐える植物〜」。
子供向けコーナー
種やハーブの展示コーナー

「しぶやホタルの郷」と名付けられた一角もある。6月になるとホタル観賞会が開かれる。


「なぜ渋谷区がこんな施設を......?」と考えていると、その答えになりそうな写真が掲示されているではないか。

「春の小川は、さらさら〜」の歌詞でおなじみ「春の小川」は、1912年に尋常小学唱歌(四)にはじめて掲載された。国文学者高野辰之によって作詞されたものだが、渋谷川上流の河骨川(こうほねがわ)の風景をもとに歌詞を作ったといわれている。ちなみに、こうほねは川辺で黄色い小さな花を咲かせるスイレン科のコウホネに由来するという。

館内の写真は、1950年代、小田急線沿いを流れる河骨川の写真2枚と、現在の代々木4丁目付近から代々木公園方面を望んだ河骨川水源付近の風景が1枚。
河骨川は南下して宇田川となる。1962年から1964年にかけてすべて暗渠になってしまうが、その名前は井の頭通り沿いの地名、宇田川町に残る。昔の渋谷は自然が豊かだったんだよと伝えていくために、この施設は作られたのだろう。


1956年の河骨川。奥に見える線路は小田急線

明治30年(1897年)代の宇田川上流。現在の代々木八幡付近。

こんなにも景色は激変するのかと驚かずにはいられない。館内には子連れのファミリーが何組もいた。珍しい植物を身近に感じられるスポットとしては最適ではないか。


ハイソな麻布十番に立ち寄る

渋谷車庫周辺は予想以上に見どころが多かった。これだけでも十分満足できるプチ旅行だが、せっかく1日乗車券を購入したので、次に麻布十番駅前を目指すことにした。


バス停「麻布十番駅前」

麻布十番があるのは港区。近くに大使館が多く立地していることもあって、外国人の姿を多く見かけた。日本人はいかにもハイソな雰囲気で、犬を連れている人が目立つ。


麻布十番の魅力は高級感と庶民的なところを合わせ持っているところ。昨年3月に訪れた「浪花家総本店」は相変わらずの行列だった(参照:「たいやきの顔」の男前さが気になって仕方がない)。

今川焼の月島屋もなかなかの繁盛ぶりである。


今川焼の月島屋

東京タワーにも行ける

交通の便がよくなかった麻布十番は、芸能人の隠れ家的なスポットだった。しかし現在は東京メトロ南北線、都営地下鉄大江戸線が通り、アクセスは格段に向上している。バスと地下鉄を駆使することで快適な東京旅ができるはずだ。

麻布十番駅前の2つ先、赤羽橋駅前から徒歩約500メートルのところには東京タワーがある。
何度も行ったことのある筆者は下車しなかったが、未体験という人にはぜひお勧めしたい。バスから見たエリアを高い所から眺められるはずだ。

東京タワー(Yuya Sekiguchiさん撮影、Flickrより)