脳科学者の茂木健一郎氏が自身のYouTubeチャンネルで「「読書の時代」が来ているよね。」と題した動画を公開した。動画では、インターネット社会における情報の在り方に疑問を呈しつつ、現代において人々が活字に回帰する背景や、読書の根本的な価値について独自の視点から提言している。

茂木氏は冒頭、人々が集まって静かに読書を楽しむ「読書バー」が流行しているという記事に触れ、「本にみんな戻ってきているというのは、やっぱ時代の流れなんだと思う」と分析する。その背景として、インターネット上で飛び交う情報は断片的であると指摘した。「トレンドを維持していても、トレンドって水平運動なんで、あんまりなんか深くないんですよね」と語り、次々と流れてくるトピックを追いかけるだけの表層的な情報消費にとどまりがちなネット社会の構造的な問題を浮き彫りにした。

そうした現代において、物事を深く思考するためには「自分の足元の井戸を掘るとか、そういうことやろうと思ったら、やっぱり本を読むのが一番いい」と断言。茂木氏自身も、移動時間などを活用して難解で知られるジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を読み進めていると明かし、そうした体験を「とても素敵な時間」と表現する。「本を読むってことの価値に、みんな目覚めてくれたらいいなと思う」と期待を込めた。

締めくくりには自身の活動にも触れ、現在はグローバルな英語のコンテンツが中心になっているとしつつ、内田百輭の『阿房列車』といった日本の活字文化をお風呂で読んでいるというエピソードも披露。日本の現代小説が海外で翻訳されるようになった現状を踏まえつつ、最終的には「カノン(正典)になっていくようなものに、なるべく触れていきたい」と結んだ。表面的な情報があふれる今だからこそ、時代を超えて読み継がれる名著に向き合うことの意義を、視聴者に強く訴えかける内容となっている。

チャンネル情報

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