治安戦略アナリストの小比類巻文隆氏が自身のYouTubeチャンネルで「『少年ジャンプ』グッズを43億円分キャンセル。32歳女、逮捕。元警視庁刑事が解説」を公開した。動画全体を通じて、集英社の公式オンラインストアで約43億円分ものキャラクターグッズを注文し、無断キャンセルを繰り返したとして32歳の女が逮捕された事件について、その特異な動機と手口を解説している。

事件の概要として小比類巻氏は、容疑者が238個ものアカウントを使い分け、約2年間にわたり2000件以上の架空注文とキャンセルを繰り返したと説明。手口として、支払い期限切れによる自動キャンセルを狙う「コンビニ前払い」や、配達先で受け取りを拒否する「代金引換」を悪用していたと指摘した。これにより集英社側は往復の配送料など約750万円の直接的な損害を被っただけでなく、本当に欲しいファンが購入できなくなるという機会損失が生じたと述べている。さらに、少年ジャンプの平均発行部数が100万部を下回る現状に触れ、グッズ販売が出版社にとって次の作品作りに繋がる大切なビジネスとなっている背景を解説した。

特筆すべき点として、容疑者が「お金でもなく、商品でもなく、満足感とすっきりした気持ち」を得るために犯行に及んでいたという供述に注目。小比類巻氏はこの不可解な動機について、商品を手に入れることではなく「注文できた瞬間の感覚」を求めた依存症の一種だという説を展開した。ストレスを抱えた状態で人気商品を確保すると、脳内でドーパミンが分泌されて一時的な快楽を得られるが、その快感が癖になり「注文ボタンを押した直後に気持ちが軽くなる」というプロセス自体に依存していったと分析している。

最後には、本事件の構造について「一つの小さな行為が本人をどんどん縛っていった怖さが表れている」と語り、ストレス解消目的の些細な行動がエスカレートしていく依存の恐ろしさに警鐘を鳴らした。そして、手元に何も残らない虚しい迷惑行為が、結果的に偽計業務妨害という重い罪に繋がった現実を提示し、動画を締めくくった。

チャンネル情報

元警視庁刑事・国際捜査官。1993~2023年警視庁。爆弾処理班配属後、警視庁中国語通訳を経て国際捜査官に。以降、国内外の銃器・薬物犯罪の情報収集、秘匿捜査に従事する。ほか殺人、強盗、誘拐事件などあらゆる捜査に参加。退官後、30年に及ぶ警察人生の知見を世の中へ貢献すべく治安戦略アナリストとして活動中。