佐藤正午氏の新刊小説が刊行されると聞いて、嬉しさを通り越し動揺してしまったのは私だけだろうか。『鳩の撃退法』(小学館)が2014年、『月の満ち欠け』(岩波書店)が2017年、『冬に子供が生まれる』(小学館)が2024年である。5年以内に次の小説が出たら御の字だなくらいに思っていたのに、1年と少しで新刊を手にできるなんて、なんかの間違い?......ではなかった。2016年から、長い時間をかけて連載された小説である。