四作品を収録した、円城塔の最新短篇集。著者は「あとがき」で、〔書き手の中には一貫したなにかがあるのであり、この全体の迷走感は迷走感でそれなりのまとまりがある〕と記している。円城塔の中にあるなにかは余人に知るよしもないが、作品として外化された作品には、円城塔ならではのなにかが瞭然とある。それは文体(とくに理屈を綴るときの屈折した文のつらねかた)であり、モチーフ(情報理論や数学や物語論)であり、小説