Google Glass自動運転カーなど、Googleの研究開発機関であるGoogle Xはさまざまな将来の技術を開発しています。そんなGoogle Xが開発している次世代の風力発電飛行機が「Makani」です。

Makani - Google

http://www.google.com/makani/

Makaniは、凧の原理を用いて空を飛びながら発電するという一風変わった風力発電装置。どのようにして飛び、発電するのかは以下のテスト飛行のムービーで見ることができます。

Makani Airborne Wind Turbine - YouTube

発射台のようなものに取り付けられた機体。これがMakaniの発電装置となる部分です。



羽根に取り付けられた4基のプロペラがヘリコプターのように回転し……



フワリと飛翔し、大空へと登っていくMakani。地面にはグラウンドステーションと呼ばれる土台が残り、Makaniはグラウンドステーションとテザー(ひも)でつなぎ止められるようになっています。



ある程度の高さまで上昇したMakani。



ここから、発電のための飛行を開始。凧のように、一箇所にとどまったまま発電するのかと思いきや……



意外にも、円を描くようにぐるんぐるん回転するMakani。これは効率を追求した結果に導き出された最適な飛行パターンとのこと。風力発電を行う風車では、大きな羽根の翼端が最も効率よくエネルギーを受け取れることが分かっているので、Makaniはその最も「おいしい」部分だけを利用するというコンセプト。



仕事を終えたMakaniは、再びヘリコプターのように空中でホバリング。



地上のグラウンドステーションでは、テザーをドラムに巻き付けます。



Makaniが徐々に地面に近づいて……



そしてドッキング。必要のない時は、地上で待機できるというのもMakaniの優れたポイントの一つです。



これがコンパクトにまとまったMakaniのシステム全容。従来の風車のように、巨大な塔や大きな羽根を必要とせず、資材を90%も削減できるのが最大のメリットと言えそうです。



Makaniは軽量なカーボンファイバー製の機体で、8基の発電用プロペラを搭載。高度140〜300メートルの上空で強い風をキャッチすることで地上では不可能な高い効率を得て、600キロワットの発電能力を備えると発表されています。



テザーは単に機体をコントロールするだけでなく、発電した電気を地上に届ける役目を兼ねています。コンパクトにまとめられたグラウンドステーションは、省スペース性と可搬性に優れ、へき地での発電や、災害発生地域での活用も期待できそうです。



The Vergeの伝えるところによると、開発を進めるチームに対し、Googleのラリー・ペイジCEOは「少なくともテスト機を5回以上クラッシュさせること」と指示を出したとのこと。これは、失敗を重ねることで問題点を洗い出し、効率のよい開発を目指すことを目的とした発言でした。指示を受けたチームは北米でも最も風の強い地域でテストを実施しましたが、ペイジCEOの意に反してMakaniは強い風の中でも安定した飛行を行い、チームは皮肉にもこの結果に「ガッカリ」したそうです。