ドラフト上位候補・山崎康晃（亜細亜大）、急成長した岡野 祐一郎（青山学院大）の投球に迫る
プロ野球ドラフトも、あと3週間となった。今回はドラフト上位候補と注目される山崎康晃（亜細亜大）の投球に迫ってみた。
ドラフト上位候補・山崎康晃（亜細亜大）、急成長した岡野 祐一郎（青山学院大）の投球に迫る優勝争いではともに負けられない青山学院大vs亜細亜大学の一戦が始まった。試合は2対2のまま試合は決着がつかず、延長戦へ。延長11回に亜細亜大が2点を勝ち越し、勝ち点を挙げた。この試合の焦点は亜細亜大のエース・山崎 康晃（4年・帝京）の投球だ。
山崎康晃（亜大）
ドラフト候補に挙げられる山崎 康晃。一言でいえば、すべてにおいて80点がつけられる投手だ。右オーバーから投げ込む直球は常時140キロ〜145キロ（最速146キロを計測するが、常に140キロ台を計時するわけではなく、ランナーがいない時は130キロ後半が多く、ランナーを出してから140キロ台とギアを入れ替えている。
気になったのは、140キロ台を出していても、空振りが少ないこと。ドラフト候補に挙げられる投手。特に右の本格派ならば、やはりストレートで空振り三振を奪える圧倒さが欲しい。
山崎はリリーフで投げる時は150キロで圧倒する投手である。やはり先発となると、力加減をしてしまうのか、140キロ前後でとどまってしまうのだ。変化球は120キロ台のスライダー、135キロ前後のカットボール、100キロ前後のカーブが中心だ。 山崎の変化球は横に変化するものが多く、空振りを狙って奪うものではないので、当てるには難しい投手ではない。そのため、変化球もファールで粘られることが多かった。
東都の打者相手に、圧倒した投球が出来ない。プロの打者と対戦することを想定すると、やはり厳しいとなる。
この日は7回を投げて被安打6、2失点。及第点ともいえるが、ドラフト上位候補として見るのであれば、今日の投球内容については物足りなさを感じる結果である。プロ入りしたと仮定した場合、1年目の山崎は、新人王級の活躍を期待するよりも、まずはプロの舞台に慣れてから、持ち味である150キロ台を超えるストレートを全面に押し出せるようにするべきだろう。
山崎が150キロを出していたときは中継ぎ。適正は中継ぎなのではないだろうか。そういう意味では、中日の福谷 浩司（慶應大）のような成長曲線を描いてほしいと思う。福谷も大学4年の時は故障で不調で苦しみ、1年目は僅か9試合登板に終わった。だが2年目で72試合に登板し、防御率1.81と素晴らしい成績を残し、最速157キロまで伸ばした。このモデルケースで、山崎も見違えるような投球をプロの舞台で残すことを願っている。
岡野祐一郎（青山学院大）
一方で、青山学院大の岡野 祐一郎（2年・聖光学院）も素晴らしかった。この春、エース格として活躍した投手だが、高校時代の印象としては130キロ後半の速球をコントロール良く投げる好投手と言うイメージだが、随分とストレートが速くなっていた。
常時140キロ〜145キロで、6回表、長曽我部の場面で、最速146キロを計測。高校時代はコントロール良く投げ、飄々と投げていたが、今ではストレートを全面に押し出し、亜細亜打線を封じこんでいた。抑えるたびに雄叫びを上げるなど、気持ちがこもった投球であった。イメージが一変したというのはこのことを言うのだろう。
投球フォームは上半身、下半身ともにバランスが取れた投球フォーム。ワインドアップから始動し、左足を高々と上げていきながら、右足の膝はしっかりとバランスを保ち、左ひざを真っ直ぐ体重移動を行い、テークバックは内回りの旋回をしていきながら、しっかりと右ひじを上げて、腕を振る。余計な癖もなく、完成度の高いフォーム。リリースポイントが安定しているので、コントロールも安定。何より高校時代と比べて腕が強く振れるようになったので、ストレートも勢いが増している。
延長10回に勝ち越され敗れてしまったが、今季は6試合で防御率1.47とリーグ2位の成績を付けている。安定感のある投球を見せているが、まだ勝ち星はゼロ。そろそろ岡野のために打線の奮起を期待したいところだ。
(文：河嶋 宗一）
