「代打の神様」と呼ばれるのを嫌がった巨人・高橋由伸「元4番の意地」

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7月15日に甲子園で行われた阪神×巨人の首位攻防戦。阪神リードで迎えた9回表、マウンドに立ったのは絶対的な守護神・呉昇桓。阪神が誇る守護神の前に、瞬く間に2アウトをとられた巨人ベンチが、この時、代打に送り出したのはベテラン・高橋由伸(39)。高橋は2ストライク1ボールから呉の投じた剛球 を振りぬくと、その打球は高々と舞い上がり、逆風を突いてライトスタンドへ。まさに値千金の同点アーチとなった。

この試合の直前まで、高橋の代打成績は実に神懸りなものだった。この試合の直前までの10試合で、9打数5安打2本塁打。そのため、ファンはもとより、一部スポーツ紙では「代打の神様」という名誉ある称号で紹介されるまでになっていた。



だが、当の高橋にとって、この「称号」は、どうやら満面の笑みで受け入れられるものではなかったようだ。 「代打の神様」と呼ばれることに対して、「うーん、まだそうは呼ばれたくはないよね」と語る、巨人一筋17年のベテランは、かつて、松井や清原といった名だたる強打者たちと共にクリーンナップを組み、常勝軍団を支え続けた勝利の立役者。
そして、なにを隠そう、第66代の四番打者でもある。やはり、彼がこだわるのは、「代打の神様」という称号ではなく、あくまでスタメン4番での活躍なのかもしれない。

文・田村敦規