2013年に行われたWBCで来日したキューバ代表。ホワイトソックスで活躍するアブレイユ(左)も出場していた [Getty Images]

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 巨人がキューバ代表投手のエクトル・メンドーサを獲得すると報じられているほか、ロッテは14日にキューバ出身の強打者アルフレッド・デスパイネの獲得を発表。今季から加入し、すでに活躍を見せているグリエル(DeNA)とセペダ(巨人)に続けとばかりに、日本球界では空前のキューバブームが起こっている。

 こうした背景には、スポーツ選手の国外プロ契約を禁止していたキューバ政府が、昨年9月に「プロ解禁」の方針を打ち出したことがある。キューバ出身選手は、これまでにも米大リーグや日本球界でもプレーしているが、基本的には他国へ亡命するという大きな危険を冒す必要があった。キューバ選手がプロとして大金を稼ぐためには、その前に人生を賭けた大勝負をする必要があったのである。

 もともと、5回の五輪で3度の優勝を誇るなど、キューバの野球はレベルが高い。現在、米大リーグで活躍する世界最速171キロ左腕のチャップマン(レッズ)、今季の新人王を田中将大(ヤンキース)と争うであろうアブレイユ(ホワイトソックス)など、スピード、パワーを兼ね備えた選手が多く揃っている。米国と違い、日本とキューバは国交があるため、今後も日本の各球団はレベルの高いキューバ選手獲得に動いていくことになるだろう。

 ちなみに、正規ルートではないキューバ選手は日本球界に数多く存在している。アンダーソン(巨人)やベタンコート(オリックス)、アブレイユ、ミランダ(ともに日本ハム)、カニザレス(ソフトバンク)を含め、計8人のキューバ出身選手が亡命後に米大リーグを経由して日本の球団に在籍している。

 さらに過去を振り返ると、かつて西武の黄金時代を支え、ベストナイン3度、日本シリーズMVP1度を獲得した「カリブの怪人」こと、デストラーデ(1989〜1992、1995)も実はキューバ出身選手。キューバで生まれたデストラーデは家族とともにメキシコを経由しアメリカに亡命。その後ニューヨーク・ヤンキースとプロ契約を結び、メジャーで2年間プレーした後、海を渡ってきた。

 今シーズンのプロ野球上半期で大きな話題となった『キューバ』だが、正規ルートが出来たことで、より質の高い選手が来日することが出来るようになった。デストラーデに次ぐ大ヒット選手も近々現れるに違いない。