「職がなければソープで働け」と求める職員の意識を変えるには/小笠原 昭治
顧客視点から見えてくる、さん付け運動で小さな言動から意識を改革していく超カンタンな再発防止策
ショッキングなニュースが報じられました。生活保護を申請した30代の女性へ、市の職員が「職がなければ、ソープランドで働くように」求めたそうです。
(以下j-castニュースより抜粋)
http://www.j-cast.com/2014/06/10207274.html
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大阪市で生活保護を申請した30代女性に対し、職がなければソープランドで働くよう職員が求めたと、女性の相談に関わった弁護士がブログなどで明かした。これに対し、市では、「言ってはならないことで、そんな話は聞いていない」と説明している
(中略)
女性は、DV被害をきっかけに夫と離婚した後、知的障害を持つ5歳の子供と暮らしている。仕事を探してはいたものの、保育園に子供を入れることができずに困り果て、大阪市に生活保護を申請することにした。ところが、申請してもうまくいかず、結局5回も断られたという。その際に、対応した市の職員から、「ソープランドへ行け」と言われたというのだ。
(Yahooニュース)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20140613-00036339/
生活保護申請の女性に「ソープで働け!」という対応 大阪市だけでなく「氷山の一角」
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この発言の真偽の程は別にして、決して芳しい話ではありませんし、誰も得する話じゃありませんから、問題を解決するための方策が必要です。
記事によると、こうした「公務員による住民へのセクハラ発言」が
全国で時々問題になる
ということは、他の自治体にとっても対岸の火事ではなく、
また、全国の成人女性が「そのように扱われるかもしれない」危険性を孕んでいるからです。
そこで、その再発防止策を、顧客志向(マーケットインマーケティング)の見地から考えてみましょう。
マーケティングのみならず、商売では「客」のことを
お客さん
や
お客さま
と呼びますね?呼ばれたこともありますね?
「客」と表現する場合は、
このように記事で解説する場合や、
ニュースで報じる場合や、
客観的な立場で書かれたもの(たとえば書籍)や、
客層等を分析する場合
に限られます(次ページへ続く)
一部の「客を客と思っていない」社員やアルバイトは「客がドーのコーの」と呼び捨てにしますが、意識の低い社員やアルバイトに限って、その傾向にあるようで、
一生、その仕事に就いて、お客さんと付き合っていく覚悟があるかどうかという、
就業意識の問題
です。意識ひとつで、発する言葉が変わりますし、言葉ひとつで、組織風土が変わるものですよね。
それでは、商売でいうところの「客」とは何でしょう?
一般論としては、代金を払ってくれる人を「客」と呼びます。
代金を払ってくれる客に「さん」や「さま」を付けて、「お客さん」「お客さま」と呼ぶように、
商売の当たり前を行政に当てはめてみる
と、どうでしょう?
市民さん
区民さん
町民さん
村民さん
国民さん
という呼び方になりますね?
現在は「国民がドーのコーの」とか「区民はドーのコーの」と、当たり前のように呼んでいますが、それを、
「国民さんが…」
「町民さんは…」
へ替えてみるのです。
慣れないと、違和感を覚えるかも知れませんし、
どんな些細なことであれ、新しいことを始めようとすると、必ず抵抗勢力は現れますが、たった、
さんの二文字
を加えるだけで、親近感が高まるといいますか、愛着が湧くといいましょうか、ずいぶん印象が変わりませんか?
この技、日本の独自文化なんです。
人のみならず、取引企業名にも、食べ物にも、職業にも「さん」を付ける言語は、日本語だけですから、日本発の行政文化たり得ます。
もちろん、一円もかかりません。時間もかかりません。準備も何も要りません。
ご大層で難しいことなんか続きませんから、さん付けするだけでいいのです。
たったそれだけで、
住民へ対する職員の意識は少しずつ変わる
でしょう。少なくとも「ソープで働け」なんて暴言の真偽が問われるような問題を起こす風土を変える起爆剤にはなるでしょう。(次ページへ続く)
もちろん「さま」なんて殿様よばわりする必要はありませんし、個人的には、近ごろ医療機関が呼ぶところの「患者さま」は、慇懃無礼で行き過ぎのように思っています。
さらに、さん付け運動を取り入れた地方自治体は、日本で初めて、
住民を「さん」付けで呼ぶ町
としてニュースに取り上げられ、知名度が増すでしょう。
住民に優しくするだけで、町おこしになる
なんて、なんとカンタンなことでしょう。
なぜなら、人は、優しくされると嬉しくなりますし、大切にされると、満足するからです。顧客満足の発生です。
住民に優しい町に住みたいという人が増えれば、人口も増えますから、過疎化対策にもなります。
基本的に、会社経営にしても、自治体経営にしても、経営戦略の基本は「ヒト・モノ・カネ」ですから、肝心の「お金を払う人(部外者)」が置いてけぼりになる危険性を帯びています。マーケティングでいうところの「顧客不在」です。
だからこそ、お金を払ってくれる人を大切にすることですし、大切にするには
さん付け運動等で小さな一歩から意識を改革していく
という超カンタンな対策もありますよね?
たとえば、銀行で「佐藤さん」「鈴木さん」と呼ぶことはあっても「佐藤」「鈴木」と呼び捨てにしないように。
なぜなら、小売店であれ(BtoC)、役所の窓口であれ(GtoC)、個人個人と相対する
toCに変わりない
のですから。(完)
ショッキングなニュースが報じられました。生活保護を申請した30代の女性へ、市の職員が「職がなければ、ソープランドで働くように」求めたそうです。
(以下j-castニュースより抜粋)
http://www.j-cast.com/2014/06/10207274.html
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(中略)
女性は、DV被害をきっかけに夫と離婚した後、知的障害を持つ5歳の子供と暮らしている。仕事を探してはいたものの、保育園に子供を入れることができずに困り果て、大阪市に生活保護を申請することにした。ところが、申請してもうまくいかず、結局5回も断られたという。その際に、対応した市の職員から、「ソープランドへ行け」と言われたというのだ。
(Yahooニュース)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20140613-00036339/
生活保護申請の女性に「ソープで働け!」という対応 大阪市だけでなく「氷山の一角」
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この発言の真偽の程は別にして、決して芳しい話ではありませんし、誰も得する話じゃありませんから、問題を解決するための方策が必要です。
記事によると、こうした「公務員による住民へのセクハラ発言」が
全国で時々問題になる
ということは、他の自治体にとっても対岸の火事ではなく、
また、全国の成人女性が「そのように扱われるかもしれない」危険性を孕んでいるからです。
そこで、その再発防止策を、顧客志向(マーケットインマーケティング)の見地から考えてみましょう。
マーケティングのみならず、商売では「客」のことを
お客さん
や
お客さま
と呼びますね?呼ばれたこともありますね?
「客」と表現する場合は、
このように記事で解説する場合や、
ニュースで報じる場合や、
客観的な立場で書かれたもの(たとえば書籍)や、
客層等を分析する場合
に限られます(次ページへ続く)
一部の「客を客と思っていない」社員やアルバイトは「客がドーのコーの」と呼び捨てにしますが、意識の低い社員やアルバイトに限って、その傾向にあるようで、
一生、その仕事に就いて、お客さんと付き合っていく覚悟があるかどうかという、
就業意識の問題
です。意識ひとつで、発する言葉が変わりますし、言葉ひとつで、組織風土が変わるものですよね。
それでは、商売でいうところの「客」とは何でしょう?
一般論としては、代金を払ってくれる人を「客」と呼びます。
代金を払ってくれる客に「さん」や「さま」を付けて、「お客さん」「お客さま」と呼ぶように、
商売の当たり前を行政に当てはめてみる
と、どうでしょう?
市民さん
区民さん
町民さん
村民さん
国民さん
という呼び方になりますね?
現在は「国民がドーのコーの」とか「区民はドーのコーの」と、当たり前のように呼んでいますが、それを、
「国民さんが…」
「町民さんは…」
へ替えてみるのです。
慣れないと、違和感を覚えるかも知れませんし、
どんな些細なことであれ、新しいことを始めようとすると、必ず抵抗勢力は現れますが、たった、
さんの二文字
を加えるだけで、親近感が高まるといいますか、愛着が湧くといいましょうか、ずいぶん印象が変わりませんか?
この技、日本の独自文化なんです。
人のみならず、取引企業名にも、食べ物にも、職業にも「さん」を付ける言語は、日本語だけですから、日本発の行政文化たり得ます。
もちろん、一円もかかりません。時間もかかりません。準備も何も要りません。
ご大層で難しいことなんか続きませんから、さん付けするだけでいいのです。
たったそれだけで、
住民へ対する職員の意識は少しずつ変わる
でしょう。少なくとも「ソープで働け」なんて暴言の真偽が問われるような問題を起こす風土を変える起爆剤にはなるでしょう。(次ページへ続く)
もちろん「さま」なんて殿様よばわりする必要はありませんし、個人的には、近ごろ医療機関が呼ぶところの「患者さま」は、慇懃無礼で行き過ぎのように思っています。
さらに、さん付け運動を取り入れた地方自治体は、日本で初めて、
住民を「さん」付けで呼ぶ町
としてニュースに取り上げられ、知名度が増すでしょう。
住民に優しくするだけで、町おこしになる
なんて、なんとカンタンなことでしょう。
なぜなら、人は、優しくされると嬉しくなりますし、大切にされると、満足するからです。顧客満足の発生です。
住民に優しい町に住みたいという人が増えれば、人口も増えますから、過疎化対策にもなります。
基本的に、会社経営にしても、自治体経営にしても、経営戦略の基本は「ヒト・モノ・カネ」ですから、肝心の「お金を払う人(部外者)」が置いてけぼりになる危険性を帯びています。マーケティングでいうところの「顧客不在」です。
だからこそ、お金を払ってくれる人を大切にすることですし、大切にするには
さん付け運動等で小さな一歩から意識を改革していく
という超カンタンな対策もありますよね?
たとえば、銀行で「佐藤さん」「鈴木さん」と呼ぶことはあっても「佐藤」「鈴木」と呼び捨てにしないように。
なぜなら、小売店であれ(BtoC)、役所の窓口であれ(GtoC)、個人個人と相対する
toCに変わりない
のですから。(完)