レッドソックス・上原浩治はなぜ39歳でもメジャーで活躍し続けられるのか その肉体に隠された強さの秘密とは
上原が39歳で輝ける「体幹」というキーワード
昨季レッドソックスのワールドシリーズ優勝に大きく貢献した上原浩治投手は今季も絶対守護神の名に相応しい活躍を見せている。5月4日のアスレチックス戦終了時点で今季13試合登板し、0勝1敗7セーブ。わずか3四球で、2失点、防御率は1・42と圧倒的な数字を残している。
その上原が39歳を迎えてもメジャーの舞台で輝ける理由の1つには「体幹」というキーワードが存在するという。
「上原投手に関して、一番印象に残っているのは体幹部分のインナーマッスルの連動性の高さです。上半身を支える足腰、身体をひねる筋肉もすごく鍛えられている。そして、足から始まり、骨盤部分と胴体をひねるという、ピッチングにおけるインナーマッスルの連動がものすごくスムーズ。だから、肘や肩に負担をかけずにピッチングができているし、ベテランになってもメジャーで活躍できていると考えます。上原選手は子供たちにも『体幹を意識してボールを投げるように』とアドバイスを送っていましたよ」
昨年12月15日、都内で関東近郊在住の中学3年生を対象にした野球クリニックが開催された際に、上原と一緒に若き才能の指導に当たったプロトレーナー、木場克己氏はこう語った。
体幹・体軸・バランスを強化する独自メソッド「コバトレ」を開発した同氏はサッカー男子の日本代表DF長友佑都、なでしこジャパンFW大儀見優季、柔道のオリンピック選手ら様々な種目のトップアスリートのパーソナルトレーナーを務めている。木場氏自身も日本のスポーツ界を担うような次代のアスリート育成に乗り出しており、5月10日と11日に東京都目黒区の「ダンススクール アンジェロ自由が丘校」で小中学生と高校生を対象に「スーパーアスリート塾」を開催することも決まっている。
地味なトレーニングだからこそ続けていかなければならない
昨年のクリニックでは、自身の考案した野球専用の体幹メニューを、中学生のみならず、上原にも指導したという木場氏は「上原選手は脇腹とお尻の筋肉が鍛えられていた。体軸のバランスもしっかりとしているので、ピッチングの際に上半身がぶれることがない。体幹をしっかりと鍛えているのでスムーズな重心の移動が可能になっている」と分析する。
身体の中心部分の筋肉や組織、インナーマッスルが強固に鍛えられているので、ピッチングのモーション時に上半身がぶれることがない。この体幹の強さはメジャー屈指の制球力につながっているのだろう。
このクリニックで上原は将来的な後継者になるかもしれない中学生に感銘的なメッセージを残している。
「体幹トレーニングやキャッチボールは地味なものですが、だからこそ続けていかなければいけない。地味なものは本当に大切なものであると認識して、明日から毎日継続できるように頑張ってほしい。3日坊主にならずに1週間、1カ月、1年と仲間を刺激しあって、頑張ってほしいと思います」
上原もレッドソックスでもチーム練習前、独自に体幹トレーニングを続けている。目に見えない努力の積み重ねこそが、39歳の守護神を支える揺るぎない力となっているのだろう。