テレビ業界裏話4つ―えっ！これやんの!?放送作家危機一髪な話「そこへ座って捕れ！ 150kmがビュン！」
放送作家というと、一部の売れっ子作家さんのおかげで華やかな職業のように見えますが、実は地味な裏方の仕事なのです。それでも、普通の仕事なら絶対にあり得ないような出来事にも出会うようです。今回は、放送作家危機一髪！ な話です。
放送作家の方々に伺った「放送作家危機一髪な話」を、身元が特定されないようにご紹介します。
■そこへ座って捕れ！ 150kmがビュン！
放送作家の主な仕事は台本を書くこと。なので、現場の撮影に立ち会うことはあまりないのが普通です。たまに出掛けて行くとヒドイ目に遭うという話です。
バラエティーの企画で、プロの野球選手が投げるような剛速球を芸人に打たせてみようという企画。自分で書いた台本なのでと現場に出掛けてみると、リハの真っ最中。
ピッチングマシンがセットされ、バッターボックスには芸人の代わりにAD、キャッチャーがいません。そこへディレクターが「お前、ちょっとキャッチャーやってみて」と無茶な指令が。
「え、無理っスよ、無理っスよ」とごねたものの、「リハができねえだろ。さっさとそこへ座れ！」と一喝。
仕方がないので道具を着けて座ると、
死のにおいさえする150kmの剛速球が！
捕れるわけもなくマスクにゴイン！
ディレクターがそれを見て「逃げてねえで、ちゃんと捕れよ！」と怒りの絶叫(笑)！
プロじゃないんだから捕れないってば！
■ノーアポでコメント取り！ 冷や汗ダラダラ
本来はADの仕事でも、人手がなければ何でもしなくてはいけないのが、駆け出しの放送作家です。ある情報番組で、「某大物女優のコメントが欲しい」という話になりました。
そのディレクターに聞いたら「アポは取れなかった。お前とにかく行って取ってこい」の一点張り。ちょうどそのときその女優が都内で舞台公演の真っ最中。
仕方がないので、ディレクターの指示どおりその劇場へ。マネジャーは「君、断ったでしょう！」と激おこ。
「すみません、すみません、これ取って帰らないと僕殺されるんです」と真剣な顔で、楽屋のマネジャーにすがりついて土下座を繰り返しました。
勢いに気おされたマネジャーが「仕方ねえな。聞いてやるけど、本人が駄目って言ったら駄目だからな」とその女優さんの楽屋へ。
「なんか殺されます……ってやつが来てるんですけど」とマネジャーが女優さんに話してくれて、それでつい笑ってしまった女優さんが「仕方ないわねえ」とその場で「コメント」をくれたそうです。
「やりましたよ！」と鼻高々で局に戻ったら、当のディレクターが「ほれ見ろ、何とかなるだろ」としたり顔。
殺してやろうかと思ったそうです(笑)。
■労災になる？ 格闘家とマジスパーでパンチ食らう
格闘技の経験のある放送作家さんが、これまた現場でヒドイ目に遭った話です。
あるバラエティーのリハの現場に立ち会っていました。芸人さんがあるボクサーさんとガチでリングで戦うという企画です。ディレクターが「そういえばお前、格闘技やってたって言ってたじゃん。ちょっとリハやってみよう！」とご指名。
最初は笑っていたボクサーさんも徐々にマジに。「うわっ。マジだ。助けてー」と心の中で叫んでいましたが、そのうち「けっこういいパンチ」がみぞおち辺りに「ドスン！」。
「うう……」とうめいてリングに崩れ落ちたそうです。
ディレクターは大笑いでリハは大変盛り上がったそうですが、当の放送作家さんは、「格闘技経験があること」はもう公表しないようにしようと心に誓ったとか。
■どこが面白いの？ と有名俳優
バラエティー番組では、演者さんに台本の説明をすることがよくあります。楽屋に行って、その演者さんの出番の部分の説明をするわけですが、AD、ディレクターだけでなく、放送作家が一緒に行くこともあります。
その日の演者さんは、堅物で有名な俳優さん。説明をしているうちにだんだん顔が険しくなりました。そのうち、必死で説明をしているディレクターの目をじっと見据えて、
「……どこが面白いのか分かんないな。これ面白いの？」
と言いだしました。「面白さの説明」を30分以上しなければならず、その間、放送作家はいたたまれない思いでいたそうです。なにせ台本を書いたのは自分ですから。
いかがだったでしょうか。放送作家も大変な職業だというのがお分かりいただけたのではないでしょうか。特に駆け出しの放送作家は、本当にいろいろなことをしなければならないようですよ！
(高橋モータース＠dcp)
