iPhone 5c減産はアップルのミス? iPhone同士で競合してしまった同時発売

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2013年9月20日に発売開始したアップルの新製品iPhone 5s/5cは好スタートを切ったと思ったつかの間、iPhone 5cを減産するというニュースが流れています。

iPhone人気が特に高いと言われる日本でも、予約の入荷待ちが続くiPhone 5sに比べ、iPhone 5cは発売当初から店頭で普通に入手できるなど販売状態に差ができていることを見れば、海外でiPhone 5cの販売数がアップルの予想より下回っている可能性は十分にあるといえるでしょう。

iPhone 5cは、これまでのiPhoneシリーズにはないカラーバリエーションが特徴で、iPhone 5sの64bitプロセッサや指紋センサーのようなハードウエア的な新機能の搭載はありませんが、安定して使える優れた製品です。

この優れたiPhone 5cが減産に追い込まれる理由はただ1つ、“iPhone 5sに破れた”ことにつきます。本来であれば、ライバルであるAndroidスマートフォンとの競争であるはずのですが、今回のiPhone 5c は、同じアップルのiPhone 5sと争い敗れたといってもよいと思われます。

今回の両機種については、正式発表前のたくさんのリーク情報から、メディアをはじめ市場や消費者は、iPhone 5sがフラッグシップモデル、iPhone 5cが廉価モデルといった位置付けの印象を持っていました。

それがいざ発表・販売が開始されると、iPhone 5sとiPhone 5cの価格差は思っていたより少なく、iPhone 5cは“高い廉価版”という印象に変わり、低価格な製品というイメージは裏切られ、価格差がほとんどないなら、むしろフラッグシップモデルのiPhone 5sのほうがお得だという判断が広がったのでしょう。

本来“普及させるための廉価版”が全くその役目を担えなかった訳です。

こうして製品としては、欠点も少なく完成度の高いiPhone 5cは、iPhone 5sと同時期に販売されたことで急速に輝きを失ってしまったのです。

これは、iPhone 5cの問題ではなく、差別化しにくい製品を全く同じ時期に同等に近い価格で市場投入したアップルの戦略に計算違いやミスがあった可能性が大きいでしょう。

もし、iPhone 5sとiPhone 5cが同時ではなく、半年でも販売時期が離れていれば、iPhone 5cはかつてないカジュアルなiPhoneとして評価も結果も大きく違っていたかもしれません。

また、今回は新しいiPod touchが登場していません。iPhone 5cのカラフルなカラーバリエーションや“iPhoneとしてフラッグシップモデルではない”という製品であれば、“iPod touchのフラッグシップモデル”としての立ち位置だったとしたら、うまく市場ニーズにハマった可能性もあります。


ビジネスや勝負事で、「〜たら」「〜れば」を言いはじめれば、きりがなくなりますが、初めて2機種のiPhoneを同時発売するという挑戦に出たアップルですが、意外に高い授業料となったようです。

発売からわずか1ヶ月しか経過していませんが、日本でも既にiPhone 5cの大幅な値引きが行われてきています。実際に購入しやすい金額で、なおかつiPhone 5sよりも価格差が大きくなれば、市場での売り上げと評価も変わってきそうです。スタートのつまずきはありますが、今後のiPhone 5cの売れ行きは大きな注目点になるでしょう。


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