アメリカでは政府機関閉鎖が続いているが、今回の事態にプラスの側面を見出した人々がいる。中国の知識人だ。

 当然のことながらアメリカ人は、今回の閉鎖は政府の機能不全の証とみている。しかし中国では、ある種の強さの表れとして捉える評論家が少なくない。今回のような状況は、強い経済力と国民の意思を反映する政治力を備えた民主主義国家でしか起きない----そんな羨むような声が、中国のソーシャルメディア上にはあふれている。

「政府機関閉鎖は悪いことか?」と中国のマイクロブログ、新浪微博(シンランウェイボー)のあるユーザーは問いかける。「アメリカのシステムでは、共和党民主党と大統領が議論を戦わせるのはごく普通のことであり、本来そうあるべきだ。課税や債務の増加といった問題は、納税者の利害と彼らが収めた税金に関わる。だから彼らに選ばれた政治家や大統領は、そうした問題を軽く扱ってはならない」

 中国で同じような事態が起きたら、すぐに国全体が大混乱に陥ってしまう。だから絶対に起きないと、多くの人が論じている。とりわけ驚きの声が多かったのは、政府機関閉鎖後も、アメリカの州や自治体レベルの政府は機能し続けていることだ。アメリカ在住のある中国人は、「閉鎖されて何日も経つのに、誰も心配していない」と驚きを露わにした。「連邦政府が閉鎖されても、地方政府は機能し続ける」 19世紀の思想家トクヴィルを引用するように、「アメリカを理解するにはアメリカの自治を理解しなければならない」と言った。

 中国の一党支配体制下では、アメリカのように極端な論争や開かれた議論が行われる余地はない。「中国政府は納税者が必死で稼いだ膨大な金を簡単に手に入れ、外国で豪邸を買ったりしている」と、あるユーザーは書いている。

 どちらの体制にも強みはある。アメリカの外交ジャーナリスト、トーマス・フリードマンは、中国の一党支配体制の結束力と権限の強さと比較して、泥仕合に明け暮れるアメリカ政界を批判する。しかしその点は中国も同じ。今回の米政府機関閉鎖を引き合いに出し、中国には独立した市民社会や分権が存在しないことに改めて自国の弱点を見る人々もいるのだ。

ベンジャミン・カールソン