「油を控えると体にいい事も わかってはいるけどつまんでしまうものさ」

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以前、コネタで「鼻毛の森」なるアーティストを取り上げたことがある。“カップル撲滅”をスローガンに掲げ、過激なメッセージを送り続けるシンガー・ソングライターであった。例えば「君よりも綺麗な人が目の前に現れたなら 僕は迷わず飛んでいくよ」とか「誰でも良かった、だから君でも良かった」なんて歌詞を発信し続けている、彼氏。

一方、「日本唐揚協会」という団体はご存じでしょうか? こちらも過去、コネタにて紹介されている。唐揚を通し、世界平和を実現しようとしている団体である。

果たして、両者がコラボした! ユニット名は「唐揚の盛」。「日本唐揚協会」からすると、大きな意気込みを携えての企画だそう。
……どうして? 唐揚を嫌いな人なんていないでしょうに。しかし、当人たちには深き悩みがあったらしく。「唐揚の盛」スマホ専用特設サイトには、このように書いてある。
「確かな歴史・美味で圧倒的認知度を備えながら、社会的『油控え』推進により敬遠されがちな側面も持つ『揚げ物』文化」
「『油モノならではの魅力を相殺する現実に緩い反抗を試みたい』と頭を悩ませていた」
そこで同協会の専務理事・八木宏一郎氏が、「鼻毛の森」が持つ“現実的すぎる目線”に注目。作詞作曲提供を依頼したのが、今回のコラボの始まりとなったようだ。
「今まで聴いたことのない恋愛の切り取り方と、たまにイラっとする歌い方、そしてムダに綺麗なメロディに圧倒され、かねてより鼻毛の森のファンでした。彼ならきっと、唐揚げに付きまとう恥部をうまく表現してくれるんじゃないだろうか? そこに期待しての依頼です」(八木専務)

さて、鼻毛氏は唐揚げを好きだったのか? いや、唐揚好きじゃない人も珍しいですけども。
「唐揚を嫌いではない方が大多数を占める中でも、比較的食する機会を多いと指摘されがちな現状を考慮すると、相対的に好きということになるにはなりますね。いや、好きです。愛しているんです」(鼻毛の森)
イチイチまどろっこしい回答だが、彼の持ち味なのだろう。

そうして出来上がった楽曲のタイトルは『アゲアゲチ金フライデー〜FRIDAY AGAIN〜』。では、気になる歌詞の方を見てましょうか。
「油を控えると体にいい事も わかってはいるけどつまんでしまうものさ」
「君と食べるときは毎日が油抜きで 僕の魂まで抜かれてしまったのさ それが君のせいだと責めてしまわぬように」
「隠れて食べていたらそれがまたクセになった 僕と唐揚げは週末だけの関係だよ あとは君でいいからどうかイカせて理想の場所に」

なるほど、深いような気もする。要するに“本命”が唐揚で、“君(彼女?)”は惰性の関係にあたるということか。……ちょっと、ここで深読みしたい。「恋愛」と「唐揚」を重ねあわせつつ、今回の楽曲は制作された? 両者に親和性を感じてるのだろうか。
「『鼻毛』と『唐揚』……、言葉の響きからは親和性を感じます。協会のコンセプトに向き合った時、綺麗事抜きで唐揚文化に向き合う姿勢が、私の『従来のラヴソングに疑問符を呈する』スタンスと重なったというか、強引に重ねたというか」(鼻毛の森)
要するにだ。同協会の持つ「油モノのデメリットに向き合った上での悲壮な愛情」が、「理想論を排除した“残念な現実”を歌う」という鼻毛の森のスタンスに合致したようだ。

そんな同曲は現在、オリコンミュージックストアで独占配信されている。
「『油のとりすぎはよくないことを理解しながらも、たまにはいいじゃないか!』、そして『たまには好きにさせてくれないと隠れて●●しちゃうよ!』。恋愛にもあるであろう過剰拘束への抵抗を歌詞に押し込め、とことん前向きなサウンドで相殺しました。美味しい目の前の唐揚に向き合える“小さな勇気”に繋がれば幸いです」(鼻毛の森)
「コーラスでは協会の安久会長と私も参加していますので、そこも聴きどころです!」(八木専務)

ちなみに今回のこのコラボ、八木専務が鼻毛氏に電話相談し、その数時間後に鼻毛の森から弾き語り音源がメールで送られてきて事が進んだようだ。
「あの時はビックリしました。勢いに負けて依頼してしまった、というのが本音です(笑)」(八木専務)
押しが、強い。鼻毛氏も過剰拘束するタイプではないだろうか?
(寺西ジャジューカ)