「電気カミソリ」のフィリップスは、バルブ生産量も世界一だった
あと、こんな事実を知っていますか？ 我々男性陣には電気カミソリ（シェーバー）でお馴染みの「フィリップス」が、実はキセノンバルブ（HID）の生産量で世界ナンバーワンを誇っているということを。こちらも、あまりにもイメージと合致しない、その意外な実績に驚き！ 気になったのでいったいどんな会社なのか調べてみることにした。
端的に言うとほとんどの要素において高性能なランプが、「キセノンバルブ」なのです。
そして、もう一つ。「フィリップス」が誇るのは実績だけではなく、その歴史も見逃せない。同社は世界で初めて電球ヘッドライトの量産に成功したメーカーでもあり、バルブ製造においてパイオニアと呼べるリーディングカンパニーでもあるらしい。
我々は普段、何気に点けたり消したりしているけども、車のヘッドライトとフィリップスには深い関わりがあった模様。欧州車や国産車の多くに、フィリップスの製品が純正採用されていたのです。
そんな同社バルブのほとんどは、ドイツにあるアーヘン工場で生産されているらしい。
調べてみるとこの工場、今までに様々な歴史が更新されてきております。従来の2倍の明るさを実現した「ハロゲンバルブ」の製造が始まったのは1962年からで、キセノンバルブの製造は1990年（量産のためのパイロットライン稼働）から。ともに世界初の量産化。
しかも現在、アーヘン工場だけで年間1億6000万個のバルブが生産されているとのこと。世界における自動車のヘッドライト光源は、ハロゲンバルブが全体の80％を、残りの20％弱をキセノンバルブが占めており、その多くはこの工場から誕生しているのだ！
では、そんなアーヘン工場のスケールについて。まず、広さは10万平方メートル。同社が持つ工場の中でも最大規模であり、東京ドームがすっぽり2個収まってもまだ余裕がある大きさなんだとか。
また、ここではハロゲンバルブやキセノンバルブのほか、LED、有機EL（OLED）レーザー光線の研究・開発が行われている。なるほど、フィリップスの重要拠点と呼ぶに相応しい大車輪の活躍を見せているな…。
もちろん、現状には留まらない。フィリップスは自動車ヘッドライトの光源として、今後は「レーザー」を重要視しており、同工場では研究開発に余念がないという。もしかすると次代のヘッドライト光源の大本命は、LEDを飛び越えてレーザーなのかもしれない。
そんなこの工場内には、「We make the shine」（私たちが作っているのは輝きです）と書かれたポスターが貼られている。「我々が作っているのは、パーツではなく光」ということだろうか。プロフェッショナルの持つ誇りが、アーヘン工場には充満。世界一を誇るフィリップス、さすがです。
（寺西ジャジューカ）
