欧州の鉄道は進んで利用しやすい運賃体系になっていることが多い

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就活はお金がかかる！　学生の場合スーツなど身の回りの物に加えて、地方在住だと説明会や面接会場までの交通費はかなりの出費だ。どの日程で面接や説明会が入るか分からないので、費用を捻出するためのバイトも定期的に入れづらい。すでに社会人の人でも（もちろん失業保険をもらえる場合もあるが）、求職中は懐具合が苦しいことに変わりはない。

ところがベルギーでは、そんな就活中の人たちをサポートしてくれる制度がある。求職中は鉄道運賃が大幅に割引されるという。

ベルギーは言語境界線で北部フランドル地方（主にオランダ語）と南部ワロン地方（主にフランス語、一部ドイツ語）という2つの地域に分けられている。各地域には職のマッチングや職業トレーニング、失業中の各種手続きを行う職業安定所があり、すでに社会人になった人が転職に使うだけでなく、（日本の「新卒」という考え方はないので）学業を終える学生も登録する。それをフランドル地方は「VDAB」、ワロン地方は「Forem」、ブリュッセル首都圏は「Actiris」がそれを担当している。

ベルギー国鉄（SNCB）によれば、VDABに登録している場合、ベルギー国内にある2駅間を2等車片道1ユーロ（約130円）、往復2ユーロ（約260円）で移動でき、ForemおよびActirisの場合、2等車を75％引きの運賃で購入できるそうだ。もちろん日本とベルギーでは鉄道の距離や国土面積、失業率など状況は異なるものの、就活中の人にとってありがたいシステムであることに変わりはない。

さらに隣国フランスでも、地域により同じような制度が見られる。リヨンなどを含むローヌ・アルプ地域圏では、求職者を対象にした特別割引カード（Carte TER illico SOLIDAIRE）があり、一定条件を満たした求職者は就職面接や職業訓練の事前面接へ行くためのローヌ・アルプ域内およびマコン、ジュネーブの間のTER（地域圏急行輸送）2等運賃が75％引きになる。

就職活動のためだけの制度ではないが、フランス国鉄（SNCF）全体でも「年次休暇切符」という割引システムがある。「Pole emploi（公共職業安定所）」に登録している求職者は片道もしくは往復で200km（日本でいうと東海道線の東京・藤枝間、上越線の東京・越後湯沢間がほほ同距離に相当）を超えて移動する際に、運賃が年1回25％引きになる。これはサラリーマンや手工業者、年金受給者なども使え、遠方へ出かけやすい社会システムになっている。