家で楽しむ生きた絵画？水草水槽の魅力とは？
『水草水槽のせかい』の著者であるタナカカツキさんも、そんな体験をした1人だ。
「金魚を飼っていて、水を換えたり洗ったり、管理がめんどくさいな〜と思っていました。そこへ、水草を入れてみたところ、水槽の水質がよくなって、管理が楽になった出来事があって、そんなことがあるのか？ なぜ？と思いネットで調べてみた時に水草水槽という世界があることを知りました」
水槽の中では、魚よりも水草が主役。そのほかに流木や石などを利用して、自然をイメージした風景を作ったものだ。さらに、水槽内に生態系が出来上がり、バクテリアが魚のフンなどを分解してくれるため、水は濁らずきれいなままを保てるのも魅力である。
東京スカイツリータウン内にあるすみだ水族館で、水草水槽を一度みたことがある。他の水槽とは違っていて、なんというか、幻想的な世界観があり、とてもきれいだなと思ったことを覚えている。タナカさんによると、水草水槽は“生きた絵画”と呼ばれているそうだ。その魅力をさらに詳しく教えてもらった。
「水草水槽の魅力とは、ずばり“美”です。部屋で自然を楽しめることです。きらめく水、多様な植物の色形、宝石のような魚。淡水なので海水水槽のようにお金のかからないところなども魅力です」
なるほど。美しくて、身近なものらしい。水草水槽の魅力を知ったら、今度は実際にみてみたいところ。すみだ水族館の水槽はとても大きかったので、もっと身近なものだとどこでみられるのだろうか。
「水草ショップというのが各地にできておりますので、お店でみてください。あとは、ぼくの家にきて！ でも、水草水槽の楽しみは、その製作過程です。みるものじゃなく、やるものです。出来上がってゆく生態系の体験なので、自分の部屋で楽しめるのがいいですよ」
でも実際に自分で作るとなると、費用と手入れと結構大変なのでは？と思い、『水草水槽のせかい』を読んでみたのだが、やはり、ある程度の情報と育成機器がないと失敗してしまうことがあるそうだ。逆の考え方をすると、それさえ揃えば誰でも楽しめるものだという。
「水槽といっても、やっていることは園芸なので、知識が必要になります（やりはじめるのに必要な知識は本に全部書きました）。植物シュミレーションゲームでもやるようなかんじで、その過程を楽しんでください。水の中で植物と生物が織りなす、バランスの整った美しい世界から得た感動や知識はそのまま地球環境に応用出来ます。今いる自分の世界が変わってみえることだろうと思います」
自分でイメージし、作り、育て、愛でる。お金を払えば、出来上がったものが簡単に手に入る生活の中に、手間隙をかけた“生きた絵画”を取り入れると、タナカさんのように自分の世界が変わってみえるだろうか。なんだが試してみたくなってくる。
最後にどんな人に水草水槽はおすすめか聞いてみた。
「美しいっていいな〜という感性で遊んでる人なら、どんな方でも楽しめると思います。あと、部屋に適度な湿度が保たれますので乾燥肌の人も」
自分で作り上げた美しいものを見ながら、保湿もされる。しかも自宅でくつろぎながらである。この上ない至福かもしれない。
（上村逸美／boox）
