協会のロゴマーク。剣、盾、翼には、それぞれ意味がある

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人から見ると、自分には髪の毛を触るクセがあるらしい。無意識なんですが。そして、こうも言われた。
「もしかして、ナルシストですか?」。いつも、髪の毛をイジってるから? イヤだなぁ……。確かに「ナルシストは髪の毛をよく触る」って言うけども。

あっ、すみません。失言でした。思わず、「イヤだ」と告白してしまったな。今回は、こんな団体を取材するというのに。ご存じでしょうか? 2012年1月に起ち上がった「日本ナルシスト協会」なる機関を。

ところで、先ほどポロッと口にしてしまったナルシストへの悪印象。これを一掃したいと、同協会は考えているようだ。

「現在ナルシストについて良くないイメージが強い分、僕たちの話を聞いて、新しいナルシズムの風潮を感じてくれる人が多い気がしています」(同協会・竹内会長)。「新しいナルシズム」とは、何ぞや。彼らが提唱するナルシズムは、旧来のナルシズムと少し違うらしい。差別化の意味を込め、彼らが発信する方を「ネオナルシズム」と呼んでいこう。

では、その具体的な内容について。何が「ネオ」なのだろう。
「自分自身を総合的にブランディングできるような行動を推奨しています。もちろん各個人で思い描く理想の自分の姿は異なるので、一概に共通行動を定義しにくい部分もあります。僕自身が大切にしているのは、『Present Flower』。すなわち『異性に時間を空けてもらったときは、花を持っていこう」という行動です』(竹内会長)

もう、よく分からない。というか、言い方がいちいちキザだな。

でも、もうちょっと聞いてあげてください。こういう事らしいです。
「ちょっとした相談や打ち合わせ、デートなどで時間をもらった時は、必ず花を持参しますね。『花を贈る』って、なかなかできないじゃないですか。気恥ずかしいし。でも、それを普通の行動として自然体でやる。それが自分のありたい自分の姿だし、それを当たり前にできる自分は好きですね。他にも、お気に入りのとっておきの洋菓子店とか、紅茶とか、ちょっとした時にサッと渡せたり話せたりする、とかですね。そういう行動って、もっといろいろあると思いますよ」

中谷彰宏と会話している気分になってきた。

いや、例えが良くなかったかもしれない。彼らが認める著名人は、以下だ。
「『生き様も含めて、憧れるな〜』って思える人、例えば女性なら藤原紀香さんとか。男性だと、言わずもがなって感じもしますけどね、GACKTさんとかですかね」(竹内会長)。なるほど、紀香さんね! これは、確かに新境地。と同時に“ナルシスト”ってのも頷ける、いい意味で。だからこその、輝きオーラというか。

そう考えると、ナルシストでいるには努力が必要な気もします。

「自分は、常日頃から『ナルシストでなくてはいけない』と思っています。例えば、ある会社の営業マンが自社の商品を売る時、自信を持ってアピールして自信を持って売るじゃないですか。商品に自信が持てない部分があれば、自信が持てるよう商品を再開発して、最高の商品を売りますよね。それって人間に置き換えると『自分という商品に、いかにアピールポイントを作って、いかに自信が持てない部分を努力するか』なんだと思うんです。つまり『自分のことを、自分が好きでいられる自分に、まず、なる』ということなんです。だから、常にトライ・アンド・エラーの繰り返しですよ。『本当に自分として、それでよかったのか?』って。『周りが許せるか?』というよりも『本当に自分自身それでいいのか』ですね」(竹内会長)。いい事を言っているのだが、話が長い。ナルシストだな、さては?

そうだ。肝心なことを聞き忘れていた。今まで、どんな活動をしてきたんですか?
「まず、現在一般的に広まっている『ナルシスト』=『鏡に映った2次元の自分しか愛せない』というイメージを払拭していくためにどうすればよいかを考え。また、ナルシストならではの一人の時間(同協会では『秘執の時間』と呼ぶ)の楽しみ方をどうシェアするか、を考え……」(竹内会長)。

ネオナルシストは、ひとり遊びが上手らしい。

他にも、こんな活動を行なってきているという。
「ナルシストの聖地と思われるような場所を探してみたり、昨年の5月3日(GOMIの日)にヴィジュアル系アーティストを集め、ヴィジュアル系アーティストの聖地である武道館の周りをGOMI拾いしたり……」(竹内会長)。

「ごみ拾い」ではなく「GOMI拾い」表記に、こだわりを持っている。

そんな竹内会長の意志に賛同し、行動を共にする協会員は、現在どれ程いるのでしょう?
「発足して1年が経過しますが、協会の噂を聞きつけ『入りたいです!』と来た人は、1〜2人だった記憶があります」

先入観があるからだろうか、好反応が大きいとはいえない。しかし、協会の草の根運動は続く。

「お会いした人に名刺を渡すと『これ、なんですか?』と聞かれ、協会の世界観を伝えると『あー、是非入りたい! 私、ナルシストです』と会員になる方が多いですね。なのでまだ100人行かない程度しかいませんが、その結集した力は一国の軍事力に匹敵するのではないかと思っています。お台場のガンダムなら、100人のコスプレしたシャアで倒せるんじゃないかって」(竹内会長)

せっかく、真面目に聞いていたのに。お台場のガンダムに向かっていくって、それ、ドンキホーテじゃないですか。

最後に、「日本ナルシスト協会」のロゴマークを眺めてみましょうか。
「ロゴマークには3つの意味が込められています」(竹内会長)
剣は「お前には戦うべきときが来る」の意。盾は「お前には守るべきものがある」の意。翼は「お前の背中に翼はあるのか」という想いが込められている。

なんか、イチイチですね。さては、ナルシストだな?
(寺西ジャジューカ)