昔も今も、大阪の象徴です。

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大阪といえば、まず思い浮かぶのは道頓堀や通天閣。その一方で、通天閣に「何十年も前に行った」という人や関西に住む人からは、「あの辺りは怖い場所」「近づかないほうが良い」なんて、冗談もまじえた(?)話も聞くことがある。
有名だけど、わざわざのぼるのではなく、「外から眺めるもの」というイメージもある。
だが、そんな通天閣が、新世界とともにいまやメジャーな観光スポットになっていると耳にし、実際に訪ねてみることにした。

4月初旬の休日。通天閣に向かう動物園前駅からの道は、やはり少し怪しげで、「ジャンジャン横丁」近辺には、こんな手書きのユルイ注意書きもあった。
「この場所はトイレでは有りません 小便をしないで下さい トイレはこの先左側に有ります 浪花警察より」
これが「警察の」注意書きというのがスゴイ。

さて、肝心の通天閣は、雨の日にもかかわらず、「エレベーターまで30分待ち」という。
2007年に国の有形文化財となったことや、昨年100周年を迎えて「黄金展望台」や「3代目ビリケン像」が設置されたこと、スカイツリー効果で各地のタワーが人気になっていることなどもあり、休日はたいてい1時間〜1時間半くらい待ちという混雑状態になっているそうだ。

そんなわけで、比較的空いている日だったのだが、それでも5階展望台にいくまでの道のりは、けっこう長い。GW中の高速道路のような渋滞ぶりで、ジリジリ前進しつつ、ゲームコーナーなどの間を抜けていく。
大行列のなかで、やや強制的に記念撮影があり、気に入ったら購入というのはどこの観光地でもあることだが、撮影ごとに添えられる一言「キレイに撮れタワー♪」のテンションの高さがステキだ。ちなみに、このテンションの高い撮影はもう一度、展望台のビリケンさん前にも設けられており、そこでは「お賽銭ジャラジャラ〜♪」と言われ、うっかりノリでお賽銭を落としていくしくみになっている。

また、さすがだと思ったのは、似顔絵コーナー。似顔絵かきの人がいる観光地は決して珍しくないが、ココのスゴイところは、「好きなタレントやキャラクターの写真・画像などを見せると、似顔絵と一緒に描いてくれる」ということ。
展示されているサンプルは、一般人の似顔絵の横にピタリと並ぶ『ワンピース』や『銀魂』『名探偵コナン』のキャラ、『キン肉マン』の超人、嵐のメンバー、EXILEのメンバー、井上陽水、田村正和などの、見事な異種格闘技ぶり。
優しい雰囲気で描いてもらう一般人の似顔絵と、キン肉マン超人などが隣に並ぶ世界観の違い・タッチの違いは甚だしく、実にシュールな絵に仕上がっている。

さらに、展望台から見下ろしてみると、衝撃の光景が。近くのラブホテルらしき建物の屋上に「チュー 通天閣の思い出に(ハート)」という大きな看板が掲げられ、展望台のほうにむけて強烈なアピールをしているのだ。なかなかの商売根性だと思う。

もしかしたらこのような細部に至るまで、よそ者がイメージする「ザ・大阪」を徹底的に演じてくれているサービスなのかもしれないけれど、たくさんのカルチャーショックを味わえるコテコテスポット「通天閣」。見るよりも、やっぱり一度はのぼっておきたいと思うのでした。
(田幸和歌子)