埼玉西武ライオンズvs東北楽天ゴールデンイーグルス 22回戦
18:01開始 西武ドーム(観衆:17,515人)
埼玉西武ライオンズ 11勝10敗1分
継投:石井一久〜○十亀剣〜H岡本篤志〜H長田秀一郎〜Hウィリアムス〜S涌井秀章

勝利投手:十亀剣 5勝 2.53
セーブ:涌井秀章 1勝5敗28S 3.92
ホームラン:浅村栄斗(6号ソロ)


【ハイライト】

【ライオンズ外野陣の打ち合わせシーン】
【斉藤彰吾選手ファインプレー】
【浅村栄斗選手6号ソロ】
【ヒーローインタビュー】
【勝利監督インタビュー】
【ゲームレビュー】
左脇腹痛により、ラインナップから中島裕之選手の名前が外された。ここまで首位打者としてチームを引っ張り続けている中島選手だが、ここに来て脇腹痛というのは心配だ。大事じゃなければいいと祈るばかりだ。打線から中島選手の名前が消えるだけで、やはりライオンズに感じる迫力はずいぶんと劣ることになる。これはいつも感じることだ。やはり中島裕之という存在は、いつもの場所でいつものようにプレーをしてくれるだけで、相手にプレッシャーを与えられる存在なのだ。その大きな存在を欠いたということは、やはりライオンズにとっては大きなダメージとなる。

イーグルスの先発は、この試合の前まで9敗(7勝)を喫している美馬投手だった。ライオンズとしては前回の対戦で攻略している相手だったため、続けて攻略することで、美馬投手に対し苦手意識を植え付けたいところではあった。だが逆に美馬投手に好投されてしまう。6回二死まで1本もヒットを出すことができなかった。これにはさすがに嫌な空気が流れ始め、少しずつライオンズにも硬さが見られるようになった。もしやまたもや手も打てずに敗れてしまうのか、とも思われた。だがその空気を払拭してくれたのが、浅村栄斗選手だった。

6回裏は二死からセンター前ヒットで出塁をする。これがこの試合のチーム初ヒットだ。そしてその初ヒットに浮かれることなく、浅村選手はすぐに盗塁で二塁を陥れる。続く秋山翔吾選手がしっかりと四球を選ぶと、この試合中島選手に代わり3番に入っていたヘルマン選手がライト前にタイムリーヒットを放った。これで0−1という点差を、2−1と一気にひっくり返すことに成功した。

浅村選手の活躍はチーム初ヒットだけに留まらなかった。8回にはソロホームランも放っており、中島選手不在の打線に於いてチームを見事牽引して見せた。もしシーズン序盤の不調がなければ、恐らく浅村選手の打率は3割近くという数字を記録しているのではないだろうか。後半戦の浅村選手は、それくらい好調を維持し続けている。そして1番を打っていた栗山巧選手の大きな穴も、十分過ぎる形で埋めてくれている。

打撃面でも今やチームに欠かせない存在の浅村選手ではあるが、ここ最近は二塁の守備でも好プレーを連発させている。やはり浅村選手は二遊間の選手なのだろう。一塁手としてよりも、二塁手としての方が良い動きを見せてくれる。そして何よりも球際の強さを感じさせてくれる。浅村選手はちょこちょとエラーはするものの、ここぞという場面では素晴らしい守備を見せてくれる。中島選手が欠場する際には、ショートを守らせてあげてもいいのかなとも思うが、しかし春季キャンプで本格的に練習していないポジションを、今守らせるわけにもいかない。しかもショートストップと言えば、頭脳プレーや一瞬の判断力が求められる非常に難しいポジションだ。そこを守らせるには、やはりまだ実践不足なのだろう。

もしファームで、ショートストップとして英才教育を受けてきたのならば話は変わるが、しかし浅村選手は1軍に帯同しながら一塁や外野を守ってきた。その流れで守らせるには、ショートストップはあまりにも難しいポジションなのだ。だがいずれは浅村選手もショート争いに加わってくることになるだろう。その時、一塁や二塁を守っている経験は大きな財産となるはずだ。

大きな財産と言えば、涌井秀章投手にも同じことが言える。連続してリリーフに失敗した頃は、完全に悪い時の涌井投手に戻っていたため、筆者としては終盤戦に向けてポジションチェンジも検討すべきだと考えていた。しかし渡辺久信監督のアドバイスにより、涌井投手はすぐに調子を取り戻すことになる。まさかこんなに早く不調から抜け出すとは、筆者は想像もしていなかった。その涌井投手にとっても、今経験しているリリーフは、来季先発に戻った時に大きな財産となるはずだ。

浅村選手にしても、涌井投手にしても、本来最も得意であるポジションには就いていない。だがそのポジションで経験したことは、来季以降、本来のポジションに就いた際に必ず活きてくるはずだ。渡辺久信監督は、一部の西武ファンからは激しいバッシングを受けることも多いが、しかし選手を活かす素晴らしい指導者であると筆者は確信している。それは2軍監督時代から感じていたことだ。今季もここまで多くの故障者を抱え、シーズン前半はチームがまったく機能して行かなかった。だが不調の選手を適材適所で臨機応変に起用していくことで、見事チームと選手を蘇らせることに成功している。この手腕はもっと高く評価されて然るべきだ。

ライオンズというチームはまだまだ完成には程遠い。だからこそ今後も長期に渡り渡辺監督に指揮を任せるべきだと筆者は考える。選手も成長すれば、監督もまた成長する。渡辺監督も経験を積んできたことにより、監督としての手腕はかなり磨かれてきたはずだ。それを今放り出してしまうことはどうあっても避けたい。もちろん今季この成績で解任されることはないだろうが、球団としてもこの監督をもっと勝てる監督に育てるべく、全力でサポートして行ってもらいたいと筆者は願っている。