【元気東北・福島編】雪国を南国にした福島人の底力
死者・行方不明者が、1万9000人を超える大災害となった東日本大震災。発生からまもなく1年が経とうとしているが、仮設住宅などで避難生活を送る人は32万人以上もいる。そんな東北をもっと身近に感じ「絆」を紡ぐことができないだろうか。ムービーエンターでは「元気東北」と題し、東北を舞台にした映画を紹介。震災に関する映画を観て東北の気持ちを知り、東北を舞台にした映画を観て美しい文化を再認識する。そして、復興に対してどう行動するか一人一人考えてみよう。まず第一弾は、福島を舞台にした『フラガール』をご紹介。
・「東北・映画で元気に復興」特集
『フラガール』
昭和40年、石炭から石油へとエネルギー革命がおきていた時代。福島県いわき市の炭鉱町も閉山の危機に陥っていた。状況を打破するために炭鉱会社が考えたのが、レジャー施設「常磐ハワイアンセンター」を開くことだった。「求む、ハワイアンダンサー」の貼り紙を見て、高校生の早苗(徳永えり)は、友人の紀美子(蒼井優)を誘い、フランダンスに挑戦することに。しかし、炭鉱で働くことしか知らない大人たちはハワイをつくることに猛反対。ダンスの指導で東京からやってきた平山まどかも、本場ハワイでフラダンスを習い第一線で踊っていたプライドから、素人に教えることに意欲がなかった――。【元気のポイント】大胆過ぎる発想が新時代を切り開く
「東北」と言うと「寒さが厳しいところ」というイメージを持つだろう。そんな東北で「南国ハワイ」をつくるなんて、誰が思いつくだろうか。それに、貞淑な時代にフラガールを募集するなんて大胆過ぎる。映画の中でも「馬鹿なことだ」と住民たちが大反対。フラダンスの衣装を見て「裸じゃねーか」と声を上げる女性たち。内緒でフラダンスを習っていた早苗は、父親に殴られる始末だ。当時の常識を考えるとあり得ないだろうこのプロジェクトクトに挑戦し、炭鉱街の未来を紡ぐ。この情熱が、観るものにも元気を与えてくれる。反対していた人たちも、情熱にうたれて少しずつではあるが心が変化していく、その様子も見どころである。【東北文化】震災にも負けず再オープン
この映画の舞台となった「常磐ハワイアンセンター」は、1990年のオープン25周年を機に名称を「スパリゾートハワイアンズ」に変えている。ハワイのコンセプトに加えて、「スプリングパーク」などの温泉も開設した。しかし、東日本大震災が発生したことで休館に。海岸線から約9キロメートル離れた内陸の標高50メートル以上に位置するため津波被害はなかったのだが、その後の余震で、ステージやプールで構成される「ウォーターパーク」などが被害を受けて長期休館となった。そんなハワイアンズだったが、2月8日についに全面再開。さらに、ただ修復しただけではなく「モノリス・タワー」という新しいホテルまでオープンさせた。常磐ハワイアンセンターを生んだ大きな情熱は、今も受け継がれ、震災なんかに負けなかった。【まとめ】福島の底力を信じる
第80回キネマ旬報ベストテン・邦画第1位、第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞など数々の賞を受けた本作。福島を舞台にした映画の代表作であり、福島人の持つ底力を最も感じさせてくれる作品でもある。福島人は決して弱くない。必ず震災被害から立ち上がり復興することだろう。我々はそれを信じ、そして、この『フラガール』が伝える常磐ハワイアンセンターのような奇跡を生み出すために、どんな援助ができるのか考えなければならない。・「東北・映画で元気に復興」特集
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