北朝鮮メディアは「金正恩(キム・ジョンウン)氏が核兵器と中長距離ミサイルを管理する秘密部隊の朝鮮人民軍第842部隊を視察したと伝えた。北朝鮮メディアが秘密部隊を取り上げることは珍しく、故・金正日(キム・ジョンイル)総書記が生前にこの部隊を視察したことは公にされたことはない。中国メディアの環球網は25日、今回の報道の意味について報じている。

 記事は、「ミサイル指導局」として知られる朝鮮人民軍第842部隊は「総参謀部直轄の部隊で、核実験基地やミサイル軍事基地、さらに核兵器と中長距離ミサイルを管理、運営する部隊」と紹介。今回の視察について金正恩氏は「父が視察するよう希望していたので特別に計画した」とし、「部隊建設や作戦準備に満足した」と表明した。

 今回の報道について、韓国国策研究所の研究員は「金正恩氏が順調に核の統制権を引き継いだことを見せ付けているのではないか」と推測。さらに韓国の政府関係者は「金正日氏は核実験や長距離ミサイルの発射試験を行なう2―3カ月前に関係する部隊を視察する習慣があった」とし、「4月15日は故金日成(キム・イルソン)誕生100周年記念日だが、その後に3回目の核実験や長距離ミサイル発射試験が行なわれる可能性がある」と分析した。

 さらに記事は「韓国メディアの中には、今回の報道が3月末にソウルで開催される核安全保障サミットへの『心理戦術』との見方もある」と紹介。北朝鮮は22日、朝鮮アジア太平洋平和委員会など3つの組織を通し、「核安全保障サミットは『重大な挑発』だ」との声明を発表していた。

 米国のボズワース前北朝鮮問題担当特使は「もしも北朝鮮が国際社会からの圧力もしくは軽視を感じているならば、国際社会の関心を集め、さらに自国の力を誇示するために、ミサイル発射あるいは核実験を行うだろう」と述べている。(編集担当:及川源十郎)