“プーチン逮捕”動画が話題に、檻に入れられ裁判にかけられる?

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3月4日に行われる選挙で、大統領への返り咲きを狙っているロシアのウラジーミル・プーチン首相。その大統領選挙を目前にした先日、「プーチン首相が逮捕され、裁判にかけられた」とする動画がネットで公開された。本当なら世界を揺るがす大ニュースになるはずの映像、これはいったい何なのだろうか――。

この動画は、2月13日にYouTubeへ投稿されたニュース風の映像(http://www.youtube.com/watch?v=6HEe2BwSRto ※オリジナル動画は削除済み)。動画の説明では、プーチン首相はこの映像が撮られた3時間前に逮捕され、裁判所に連行されたとしている。多くのメディアが取材に訪れている中、狭い鉄格子の檻の中に閉じ込められている“元”首相は、完全に晒し者の状態だ。

その檻の中で、椅子に座って険しい表情を浮かべ、何やら考え込んでいる様子のプーチン氏。逮捕された容疑はいずれも職権を利用した、莫大な国の資金を奪った詐欺と市民を脅かすテロを企てた罪だという。裁判官の問いかけに「ウラジーミル・プーチンです」「ロシア連邦の市民です」と答える“元”首相。しかしこのシーンをよく見てみると、確かにその声はプーチン氏のようだが、口元の動きがはっきりしない。

それもそのはず、この動画は真っ赤なニセモノで編集処理されたもの。プーチン首相が檻の中にいるように見せているのはまるでホンモノのような完成度だが、細かな動作までは処理が及ばなかったようだ。英紙ガーディアンによると、動画は大統領時代のプーチン氏を公然と批判し、“政敵”と目され、2003年10月に脱税の罪で逮捕されたロシア石油企業ユコスの元社長ミハイル・ホドルコフスキー氏の裁判映像を編集したものだという。つまり、映像の中に現れるプーチン首相は、ホドルコフスキー氏の頭部を加工して置きかえられた姿というわけだ。

国内で厳しい目が向けられている現状を象徴するかのように作られたこの動画は、再生回数が390万回(2月17日現在。その後、オリジナルは削除)を超えたほど、ロシアを中心に大きな話題となった。2011年12月に行われた下院選挙の不正疑惑に端を発したデモも頻発し、大統領選挙を目前に国民に対する求心力低下が著しいとされるプーチン首相。そんな逆風下の状況を過激に表したこの動画を、多くのロシアの人々が注目しているようだ。