では、橋下さんが言う「大阪都構想」。多くの人は「大阪都」に目が行っているけど、大阪市のような巨大な270万人もいる基礎自治体なんてありえない話です。かゆいところに手が届く範囲というのがあって、それを大きく超えている。これでは、住民のための自治体ではなくて、役人のための自治体になっている。

 橋下さんが民営化を訴えている大阪市営地下鉄がいい例ですよ。御堂筋線は北に千里中央まで延びる北大阪急行線というのがありますが、これを運営しているのは第三セクター会社であって、この電車は私鉄と互換性がない。車両が電力を受ける方式が私鉄とは異なっているわけです。わざと私鉄とつながらせないように造ったのではないかとさえ言われている。役人にビジネスをやらせてはダメなんです。自分らの食いブチにはなるかもしれないが、市民のためにはならない。

 大阪市の職員は「選挙で受かったぐらいでデカい面するな」という態度だそうですけど、この感覚は霞ヶ関の官僚とまったく同じです。わが党も「公務員改革」を訴えてきましたが、橋下さんが掲げた「職員基本条例」は、ぜひ実現させてほしい。公務員にも民間並みの人事制度を導入しようということであって、何も過激なことではないのです。公務員、労働組合、補助金をもらい天下りを受け入れる団体、この「なれ合い構造」という鉄の岩盤に、大阪からメスを入れていただきたいところです。

 このところ、永田町では急激に「橋下支持」を打ち出す政治家が増えている。野田佳彦総理(54)さえ、「大阪都構想の検討をしなければ」と話し始めている。

 だいたい、前原政調会長は「都構想は地域主権に反する」と選挙前には言っていたんですよ。何をトンチンカンなことを言っているのかと思ったぐらいでね。

 野田総理が使った「検討を開始」とか「議論を進める」というのは官僚言葉であってですね。物事を先延ばしにする時に、官僚が言うセリフです。

 そもそも、野党時代の野田総理は「天下りのカラクリを解明しなければいけない」なんて言っていたのに、財務副大臣になってから「財務省色」に染まってしまった。朝霞の公務員宿舎問題でも、私が追及したら「真に必要だ」と言っていたのに、世論の反対を浴びたら凍結、そして中止ですよ。消費税増税にしても、麻生内閣時代の増税法案に反対していた野田総理が推し進めているのだから、何とも皮肉な話です。

 先日、民主党の横ヤリで参加できなかった党首討論を見てくださいよ。自民党も霞ヶ関のコンテンツしか持っていないから、野田総理も自民党も増税勢力になってしまっている。どちらのほうが、声が大きいかぐらいの違いしかない。全ては、財務官僚の“振り付け”なんだと思いますけど、あれでは「八百長」と変わらない。

「みんなの党」や「維新の会」は覚悟があり、戦略がある。ところが、民主党には覚悟がない。だから、橋下さんの勝利で右往左往してしまう。「大阪都構想」実現には、地方自治法をはじめ多くの関連法案を変える必要がある。橋下さんは12月中に、永田町からの返答を迫っている。わが党はすでに「大阪都構想」を実現するための法案作りを始めています。まもなく、本当の覚悟を持った政党がどこなのかがわかるはずです。

 では、渡辺氏は「橋下維新の会」と組んで、いよいよ「天下獲り」に動きだしたということか。

 わが党は「誰と組むか」は重要視していない。あくまで「何をするか」なのです。目的が同じなら、共に行動することもあるかもしれません。