『シリコンカップ ルプルン』(アーネスト)。色はクリアホワイト、クリアピンクの2種類。

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料理をしていると、いつも気になるのがどの食器に盛り付けるかだ。食器の形、大きさ、デザインと料理をマッチさせようと思うから。そんなことを日々気にしているとき、かなり珍しい食器を見つけた。それは、なんとシリコン製! さて、いったい何を目的にこのような食器『シリコンカップ ルプルン』を開発したのか。メーカーのアーネストさんに聞いてみた。

この食器、おもにヨーグルトやアイスクリーム、スープなどを盛るのに適したものであるという。その柔らかい容器の表面のおかげでスプーンとうまくフィットするため、食材をかき集めやすいのだ。つまり、底や角の部分にヨーグルトやアイスが残らず、全部おいしく食べられるというわけ。さらに、ガラスに比べ約2倍熱が伝わりにくいので、アイスの冷たさがその分長持ちし、また、スープなど熱いものを入れても、表面があまり熱くならないなどのメリットもある。

――開発のきっかけは。
「当社では朝礼で社員のスピーチを行っています。その中でたまたま、朝食にヨーグルトを毎朝食べるという社員がいました。そこで、その食生活にマッチした商品を提案することを考えたのがきっかけです」

――シリコンのスプーンとの差別化は。
「確かに、キレイにかき集めやすいという機能を持った製品にはシリコン製スプーンがすでにあります。が、『ゴム状のものを口に入れるのは抵抗がある』『強度を高めるため芯材を入れると肉厚になり、口に入れたときに違和感がある』といった問題点があります」
「なので、食器側を柔軟性のあるシリコーンゴムにすることでステンレス製のスプーンを使用してもシリコン製スプーンと同じ効果を発揮でき、さらに、ガラスに比べ約2倍熱が伝わりにくいという特性を保冷効果としても活かせるのです」

――シリコン素材および容器の形で工夫した点は。
「哺乳瓶の飲み口などに使用される透明度の高いシリコンを使用しています」
「製品内側を連続した大きな曲面で構成することにより、スプーンを滑らかに動かせるようにしました」
「淵の内側部分をエッジ(角)にしてスプーンでかき上げた際に食品の切れを良くしたことで、口をつけてかき込む必要をなくしました」

――外観デザイン面でのこだわりは。
「シリコンの柔らかさをを表現するために、製品の淵の丸みを大きくつけています。ですが、この形状を他の樹脂で製造すると淵の丸みのある部分や側面に金型の分割線が継ぎ目のように出て外観を損ねてしまいます。そこで、シリコンを使用することで淵のエッジ部分に金型の分割線を持ってくることができ、それを目立たなくしています」

――適している食材、そうでない食材の種類と理由について。
「適している食品はヨーグルトやアイスクリームなど冷たく、流動性のある食品。適さない食品はケチャップを使用した食品。食器への色移りの可能性があるので(特にクリアホワイトで)。臭いの強い食品では、臭い移りの可能性もあります」

――日ごろの使用上の注意点は。
「フォークやナイフ、先割れスプーンなどは使用できません。また、水切りカゴに入れて置いたときなど、包丁等の刃が触れないようにしてください」

『シリコンカップ ルプルン』は、いろいろ細部にまでこだわって作り上げたデリケートな製品であり、実用性だけでなく食卓をちょっとおしゃれにする効果もありそうだ。
(羽石竜示)