国内の二大ワイン産地に行ってきた!
近年、ワイナリー巡りが人気だ。造り手から直接話を聞き、試飲や見学などを通して風土・文化にふれるワインツーリズムに注目が集まっている。国内で代表的なワイン産地といえば長野県の塩尻。そして山梨県の勝沼。そこで早速この二つの産地を巡ってきた。
まずやって来たのが長野県。塩尻市桔梗ヶ原周辺には合わせて8つのワイナリーが集まっている。なぜワイン生産が盛んになったのか?
そもそも桔梗ヶ原は火山灰土壌で冬の寒さも厳しく、農業には不向きで明治の初め頃までは原野が広がっていたそうだ。ところが、明治23年から農業の可能性をさぐるべく果樹栽培が試されるようになった。結果、ブドウではアメリカ系白ブドウのナイアガラと赤ブドウのコンコードの栽培が向いていることが分かり広まった。それが現在のワイン産地の基礎となる。また最近ではメルロー(赤)の生産も多く、長野ワインを代表する品種となっている。そして現在、長野県ではワイン(およびその他農産物)の品質管理を図るため、フランスのAOC(原産地呼称制度)にならいNAC(長野県原産地呼称管理制度)を定めている。
「農産物の原料や栽培方法、飼育方法、味覚による区別化を行い、『長野県で生産・製造されたもの』を自信と責任を持って消費者にアピール、消費者の信頼を得ながら生産者の生産意欲をさらに醸成し、長野県農産物のブランド化を目指します」(長野県庁)
ちなみに、現地ワイナリー数軒で試飲したNAC認定のワインはどれも優しく繊細な味。川魚など地元の味とも相性は抜群。和食によく合うワインになっていた。
次に訪れたのが山梨県。勝沼地区は30社を超えるワイナリーが立ち並び日本最大のワイン生産地域を形作っている。ここは日本のブドウ栽培およびワイン醸造の歴史を語る上で欠かせない地域だ。
「甲州ブドウはアジアのコーカサス地方からシルクロードを通って中国に伝わり、日本には千年以上前に伝来したと言われています。勝沼周辺は稲作に向かない土地だったので、代わりにブドウなど果樹を栽培したことが、現在にいたるキッカケです。水はけの良さ、昼夜の寒暖差、日照時間の長さ、雨の少なさがブドウ栽培に適しています」(中央葡萄酒株式会社)
海外の場合、ワイナリーがブドウ栽培からワインの醸造まで請け負う形が普通だが、日本の場合は、農家が育てたブドウをワイナリーが買い取り、それを醸造するパターンが多い。しかし近年では、自社管理の農園を持ちブドウ栽培から醸造まで一貫しておこなっているワイナリーもある。
「弊社の場合、2002年より畑ごとに甲州種を小仕込みしています。一つは勝沼でも日当りと水はけが良い土地で、凝縮感あるブドウが取れる鳥居平地区。もう一つは、冷涼な気候特有のしっかりとした酸が特徴の菱山地区です。甲州ワインに畑のテロワール(風土)を表現することは当時としては画期的でした」(中央葡萄酒株式会社)
土地の味とワインは切っても切れない仲。国内の各ワイナリーからは、良いワインを造ろうという情熱もひしひしと感じられる。そして試飲をしながら、今飲んでいるワインの造り手と直接話をできるのがワイナリー巡りの良いところ。今週末の予定がまだ決まっていないなら、ぜひ彼らに会いにワイナリーを訪れてみよう。
(加藤亨延)
まずやって来たのが長野県。塩尻市桔梗ヶ原周辺には合わせて8つのワイナリーが集まっている。なぜワイン生産が盛んになったのか?
そもそも桔梗ヶ原は火山灰土壌で冬の寒さも厳しく、農業には不向きで明治の初め頃までは原野が広がっていたそうだ。ところが、明治23年から農業の可能性をさぐるべく果樹栽培が試されるようになった。結果、ブドウではアメリカ系白ブドウのナイアガラと赤ブドウのコンコードの栽培が向いていることが分かり広まった。それが現在のワイン産地の基礎となる。また最近ではメルロー(赤)の生産も多く、長野ワインを代表する品種となっている。そして現在、長野県ではワイン(およびその他農産物)の品質管理を図るため、フランスのAOC(原産地呼称制度)にならいNAC(長野県原産地呼称管理制度)を定めている。
ちなみに、現地ワイナリー数軒で試飲したNAC認定のワインはどれも優しく繊細な味。川魚など地元の味とも相性は抜群。和食によく合うワインになっていた。
次に訪れたのが山梨県。勝沼地区は30社を超えるワイナリーが立ち並び日本最大のワイン生産地域を形作っている。ここは日本のブドウ栽培およびワイン醸造の歴史を語る上で欠かせない地域だ。
「甲州ブドウはアジアのコーカサス地方からシルクロードを通って中国に伝わり、日本には千年以上前に伝来したと言われています。勝沼周辺は稲作に向かない土地だったので、代わりにブドウなど果樹を栽培したことが、現在にいたるキッカケです。水はけの良さ、昼夜の寒暖差、日照時間の長さ、雨の少なさがブドウ栽培に適しています」(中央葡萄酒株式会社)
海外の場合、ワイナリーがブドウ栽培からワインの醸造まで請け負う形が普通だが、日本の場合は、農家が育てたブドウをワイナリーが買い取り、それを醸造するパターンが多い。しかし近年では、自社管理の農園を持ちブドウ栽培から醸造まで一貫しておこなっているワイナリーもある。
「弊社の場合、2002年より畑ごとに甲州種を小仕込みしています。一つは勝沼でも日当りと水はけが良い土地で、凝縮感あるブドウが取れる鳥居平地区。もう一つは、冷涼な気候特有のしっかりとした酸が特徴の菱山地区です。甲州ワインに畑のテロワール(風土)を表現することは当時としては画期的でした」(中央葡萄酒株式会社)
土地の味とワインは切っても切れない仲。国内の各ワイナリーからは、良いワインを造ろうという情熱もひしひしと感じられる。そして試飲をしながら、今飲んでいるワインの造り手と直接話をできるのがワイナリー巡りの良いところ。今週末の予定がまだ決まっていないなら、ぜひ彼らに会いにワイナリーを訪れてみよう。
(加藤亨延)