『女子栄養大学のダイエット クリニック』(
女子栄養大学 栄養クリニック・著/世界文化社)

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つかれたとき、甘いものが欲しくなる筆者。だからといって、毎日甘いものを食べ続けると太ってしまう。そこで昨日は、カロリーが低そうなパンを選んだ。

買ってきたパンをおいしくいただきながら、パンの包みの裏をぼんやり眺めていると、大変な数字が目に入ってきた。500kcal! つまりこの低カロリーに見えたパンは、ただいま筆者が愛読中の『女子栄養大学のダイエット クリニック』(世界文化社、価格1,260円)が提案する1食分のカロリーに匹敵するのだ。

たった1個のパンが500kcalなら、1食500kcalとはどれほど質素かと案じられることだろう。ところが驚くべきことに、かなりゴージャスな食事を楽しむことができる

例えば、本に掲載されている鶏肉のからあげ献立。4品あるおかずは、男性が満足できるほどボリュームがたっぷり。
1. 鳥のから揚げにキャベツ、人参、ブロッコリーにミニトマト
2. まいたけとかぶの甘酢漬け
3. ひじき、パプリカ、糸こんにゃくのオイスターソースいため
4. クレソン、油揚げ、じゃがいものみそ汁
以上の内容にごはんを入れて、なんと合計482kcal。筆者がおやつでいただいた1個のパンよりも、低カロリー。栄養学の知識の必要性を痛感させられる。

「ダイエットに加え、きちんとした生活習慣を身につけたいというニーズは常に存在する。長く読まれるダイエット本にしたい」と世界文化社の担当者。

じつはこの本、受講に12万円ほどかかる女子栄養大学の人気講座で、半年かけて参加者にダイエットのノウハウを伝える講座を、1冊で体験できるようになっているのだ。40年以上続くこの人気講座は、常に予約殺到中という。医師や管理栄養士、料理研究家らがチームを組み、正確な知識を伝授、そして監修してくれるものとなっている。

この本の特徴は、低カロリーだが量が豊富なレシピが紹介されているだけではない。太る原因や体重減少のメカニズムが詳しく載せられている。講座では、始めに最新遺伝子検査(血液検査)を行い、自分の体の脂肪の分解や、エネルギーの代謝の度合いを知り、その結果に応じたアドバイスを受けるようになっている。この本でも、まずは自分の体質を知ることで、失敗しないダイエットにつながることが記されている。

さらに本によると、1日30分の運動を続けるよう薦められている。やせ体質になるには、基礎代謝量を高めることが大切だからだ。体を動かす習慣のない人にとってはハードルが高い要求に思えるかもしれない。しかしこの本によると、生活活動の中で、ウォーキング20分と同量の運動量に匹敵する活動が絵で紹介されている。部屋の掃除、階段の上り、体操、軽い筋トレなど、毎日行っていることが含まれているので、こま切れの運動でも、工夫をすれば必要な運動量はこなせることが分かり、勇気がわいた。

本の中で、筆者の興味を特に引いたのは、塩分の取り過ぎが「むくみ太り」の原因になること、料理をする際、きちんと計量する人は、ダイエット上手であると指摘されている点である。また、夜10時から午前2時までは、脂肪をためる支持を出す時計遺伝子がたくさん出現するという、聞き慣れないが覚えておきたい大切な情報だ。

低カロリーの食事、規則正しい生活、運動など、心がけなければならないことが盛りだくさんで、決して安楽な気持ちでは成し遂げられないダイエット方法。しかしよく考えてみると、昔から体によいとされていること、つまり早寝早起き、よくかんで食べること、野菜中心で和食を心がけること、適度な運動をすることが推奨されているのだ。基本の木のような知識が詰まっているこの本。長くお付き合いができそうだ。
(W. Season/studio woofoo)