男性が小用を足した際やお掃除の際などに使える「eco小」ボタン(3.8L洗浄)を設置し、用途にあった最適な水量での洗浄を可能にした「ネオレスト」。

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水洗トイレの水量をあらわす「大」と「小」のボタン(あるいはレバー)。あれって、大小でいったいどのくらいの差があるのか、気になったことはないだろうか。
場合によっては、大であっても「小で十分流れるんじゃ?」というときもありそう。
TOTO広報部に聞いてみた。

「いろいろなタイプのトイレがあり、水量も異なりますが、TOTOの最新タイプのものの場合、『大』で4.8L、『小』で4.0L、その他に『エコ小』の3.8Lとなっています」

最新タイプでは水量が3段階に分かれているようだが、「小」「エコ小」の使い分けって?
「『小=男性用』と思って、使っていない方もいるかもしれませんが、実は『小』は女性用の小なんですよ」
「小」と「エコ小」の違いは、紙を使っているかどうか。紙を使わない男性の小のほうは、少量の水で良いということだそう。

さらに、意外だったのは、自動トイレでも流れる水量は異なるということ!
「今は人が離れた瞬間に自動で流れるトイレもありますが、自発的に最適な水量を選ぶようになっているんですよ。センサーの判断基準は、『座っている時間』と『立っているか座っているか』。座っていない場合は、男性用小(エコ小)とみなし、一定時間(30秒)以上座っている場合は『大』、それ以下の場合は『小』とみなします。「エコ小」はお掃除の後の洗剤を流す水にもお使いいただけます」

「大」の用を足したとき、小でも流れるのでは? という問いには……。
「実はトイレは、見えなくなれば良いというわけではないんです。『ベターリビング』で定めた評価基準で、配管に落ちてからの平均搬送距離が10メートル以上でないといけないという決まりがあります。汚物が見えなくなっても、場合によっては配管にたまり、詰まってしまう可能性もあるんですよ」
ちなみに、節水のためにタンクの中にペットボトルを入れている人もいるが、これは配管の中で十分な距離を流れる水量が確保できず、詰まりになる可能性もあるそうだ。

ところで、今でこそトイレは節水が当たり前となっているが、昔に比べ、どのくらい水量は変わっているのだろうか。
「1917年創業当時の水量は、20Lでした。1970年代後半になって、工業用水が増えたこと、節水意識が高まってきたことから、1976年に初めて『節水便器』が作られたのですが、当時は13Lだったんです。その後、10L、8L、6Lとどんどん水量は減っていますが、1990年代前半まで主流はずっと13Lで、今も家庭にストックされているのは13Lのタイプがいちばん多いんですよ」

便座は機能で取り替える人もいるが、便器は焼き物のため、10年〜20年使う家庭が多く、なかなか取り替えられないというのが、大きな理由のよう。
しかし、たとえば13Lの便器を最新の4.8Lのタイプに取り替えると、年間で約68%の節水になるのだから、これは大きな違いだ。

ちなみに、東京都水道局2002年版「一般家庭水使用目的別実態調査」によると、家庭でいちばん水を使っているのはトイレ(28%)という結果もある。

長い目で見ると、トイレの水の量って、案外バカにできないのでした。
(田幸和歌子)